料理が並べられると、早速3人は食事に入る。春蘭は漆塗りのお箸を持つと浩国に目線を向ける。

(さあ、偏食がどんな感じか見せてもらうよ――)

 浩国は箸を手に取ると、まずは柔らかく煮込まれた鳥肉を箸で掴んでひとくち食べる。宇翔が好むと語っていた柔らかく煮て味を濃い目に付けた鳥肉の品と似ているが、すごく喜んで食べているような顔つきではないが思いっきりまずそうな感じにも見えない状態だ。

「……臭みが取れていない気もするが、まあ美味しい」
(なるほど、臭みか)

 試しに春蘭は浩国が食べた品を頬張ってみる。

「む……」
(うん、確かにほんのり臭みはあるかなあ……宮廷料理人の腕前か?)

 次に浩国が口にしたのは、緑色の葉野菜の煮付けだった。柔らかく煮こまれているようには見えるが、葉野菜は思ったよりも大きめに切られている。

(あれ、野菜食べるの?)

 やはりと言うべきか若干浩国の顔は乗り気ではない。我慢をしているのが春蘭から見て取れた。

「……思ったよりうまいな」
(いけるんだ)

 春蘭は浩国が食べた葉野菜の煮付けを食べてみる。

(うん、これは美味しい。味も濃すぎなくて柔らかくて優しい味わいって感じ) 

 その後も浩国が嫌がりそうなものがあるか否かを確かめるべく、春蘭は浩国がちょこちょこ食べた品を春蘭は食べ続けていく。