「身体の痛みが完全に取れるまで安静にしておくのでございますよ? よろしいですわね?」
「は……はい……」
(今更ながらこんな感じのキャラだったなあ……周充儀は……)

 部屋から去る周充儀と雪を架子床の上から見送った春蘭はとほほ……と苦笑いを浮かべたのだった。
 夕方。浩国と約束していた夕餉の時間が訪れる。

(身体の痛みもだいぶひいた。もしかして転生したからかな?)

 後宮内にある指定された広間へと女官達を引き連れて向かう。すると広間には先にひとりの妃が訪れていた。彼女は赤い円卓の右横に立ってぼんやりとしている。

「あら、金賢妃ね」
「あ……」
(えっと、誰だっけ?)

 春蘭の目の前にいるのは白徳妃なのだが、春蘭もとい花音にとってはまだ未知のキャラクター。名前が出てこないのは致し方ない事である。

「金賢妃様! こちらは白徳妃様でございますよ!」
「! あ、ご機嫌麗しゅう……」
「落馬した痛みが引かないのかしら? ご無理はいけませんよ……?」
(うわ……胸デカ! なんか、その……あらあらまあまあ系のママキャラって感じ……ていうかこんなキャラいたっけ?)