（そうだ。周(チョウ)充儀だ！）

　周充儀は幻彩の後宮にて主人公が最初に仕える相手の女性キャラクターである。雪のような肌に紫めいた黒い髪にアイラインが濃く施されたぱっちりとした目つきと赤い目の色をした20代くらいの妃だ。主人公が町で助けた女官の主が彼女だった縁もあり、主人公は周充儀に仕える事となる。
　なお、主人公が出世していくと主従関係からよき友人へと関係性が変わるのだ。

（あれ、周充儀の後ろにいるの、主人公じゃね？）

　周充儀の後ろにはなんと、この世界の主役であろう幻彩の後宮の主人公もいた。艶のある黒い髪に、ちょっと日に焼けた肌をした彼女の、たれ目と釣り目の中間くらいな形をした黄色い瞳がきらきらと輝いている。
　美人の位の妃達は緊張の面持ちで周充儀の方へと振り返った。

「ちょ、周充儀様……！」
「あなた方が金賢妃様をご心配するお気持ちは勿論わかりますわ。しかしながら、金賢妃様がお困りのようでございますわよ？」
「……！」

　周充儀から醸し出される圧は、春蘭をも押しつぶしてしまいそうなほどだった。

「も、申し訳ありません、金賢妃様……！」
「つ、つい心配の気持ちが勝ってしまい……！」

　次々と謝罪する彼女達に、春蘭は慌ててなだめたのだった。