春蘭が架子床に座ると、どどどっと美人の妃達が部屋に入って来た。
 皆春蘭と同じか年下の、まだ幼さの残る妃達である。

「金賢妃様。お加減はいかがでございますか? 痛みはもうお引きになりましたでしょうか?」
「落馬したと聞いて心配で心配でなりませんでした!」
「お目覚めになったと聞き、安堵しております!」
「お元気そうで良かったです!」
 
 次々に美人の妃達からわらわらと言葉をかけられて、困惑を隠しきれない春蘭は、なんとか作り笑いを浮かべるのが精一杯だ。

(圧がすごい!)

 すると、新たに入室してきた妃のひとりが、お待ちなさい! と声に出した。

「金賢妃様はお怪我をされたのでございますから、あまり言いよってはいけませんわよ?」
(あ、もしかしてこの子……!)