(すんごい美味しい! 見た目は薄味に見えるけど味自体はしっかりとついてる! さすがは宮廷料理!)

 おかわりもすごい勢いで食べ尽くしてしまった春蘭。お化粧と髪結いも終わった所で、女官達が両手いっぱいに宝物を抱えて部屋に入って来た。

「どうしました?」
「こちら、美人の妃からのお見舞いの品でございます」
「お見舞い? 何が入っているのです?」
「こちらの木箱には絹布が入っております。あとは髪留めなどが……」

 受け取ったお見舞いの品は机に置かれ、ひとつひとつ開封し中身を確かめていく。
 ちなみに美人の位というのは、春蘭達四夫人(貴妃、淑妃、徳妃、賢妃)の下が九嬪(昭儀、昭容、昭媛、修儀、修容、修媛、充儀、充容、充媛)。さらにその下の二十七世婦(捷妤、美人、才人)の位の1つである。

(この髪留め、真珠が使われてる……)
「……どれも豪華な見舞い品でございますね」
「金賢妃様は賢妃の位でいらっしゃいますから」

 賢妃は皇后の下、四夫人の一角である。となれば見舞いの品も豪華になるのは当然の事だろう。 

「金賢妃様! さきほどお見舞いの品をお渡しになった美人の位の妃の者達が、ぜひお見舞いに訪れたいと……!」
(え、今度は本人達が来るパターン?)