浩国はずらりと並ぶ果物達に興味深く目を向けた。
「……白徳妃」
浩国からの声に、白徳妃ははい、なんでしょうか? と甘い声使いで返事をした。
「栄養豊富な果物はあるか?」
「……そ、それならこの茘枝や彌猴桃などはいかがでございましょうか? しかしながら陛下は茘枝は気に入らぬと仰せでございましたが……」
「いや、食べる」
浩国は皮がむかれた茘枝を取ると、むしゃむしゃと食べだした。
「苦手なものも、きちんと食べねばな……」
茘枝を食べ進める浩国をあんぐりと口を開けた状態で見つめていた白徳妃。彼女は他の果物には手を付けず、だまって浩国の姿を見ていた。
「へ、陛下……いかがなされたのです?」
「? なんだ?」
「だって、これまでは苦手な食べ物に手をつけた事は無かったと記憶しておりますが……」
「それではダメだと思ってな」
他の果物にも目を通している浩国を、白徳妃は一瞬だけ子供のように目を大きくさせながら見つめていた。
「もしかして。誰かそそのかしたわね、私だけの陛下を……」
彼女の疑心がこもった小さなつぶやきは、幸運にも浩国の耳には届かなかった。
◇ ◇ ◇
翌日。だいぶ身体の痛みが引いた春蘭は、自室で新たな服に着替え、女官達にお化粧と髪結いを施してもらう。
「……白徳妃」
浩国からの声に、白徳妃ははい、なんでしょうか? と甘い声使いで返事をした。
「栄養豊富な果物はあるか?」
「……そ、それならこの茘枝や彌猴桃などはいかがでございましょうか? しかしながら陛下は茘枝は気に入らぬと仰せでございましたが……」
「いや、食べる」
浩国は皮がむかれた茘枝を取ると、むしゃむしゃと食べだした。
「苦手なものも、きちんと食べねばな……」
茘枝を食べ進める浩国をあんぐりと口を開けた状態で見つめていた白徳妃。彼女は他の果物には手を付けず、だまって浩国の姿を見ていた。
「へ、陛下……いかがなされたのです?」
「? なんだ?」
「だって、これまでは苦手な食べ物に手をつけた事は無かったと記憶しておりますが……」
「それではダメだと思ってな」
他の果物にも目を通している浩国を、白徳妃は一瞬だけ子供のように目を大きくさせながら見つめていた。
「もしかして。誰かそそのかしたわね、私だけの陛下を……」
彼女の疑心がこもった小さなつぶやきは、幸運にも浩国の耳には届かなかった。
◇ ◇ ◇
翌日。だいぶ身体の痛みが引いた春蘭は、自室で新たな服に着替え、女官達にお化粧と髪結いを施してもらう。