雄力と固い握手を交わした春蘭の目はきらきらと輝いていた。

（よし、頑張ろう……！）

　しかし、先ほど両手を天に掲げたせいか、身体の痛みが酷くなってしまった。

「いたた……」

　結局、春蘭はそのまま架子床にて寝込んでしまったのだった。

◇　◇　◇

　一方、浩国はある妃の部屋を訪れていた。香を焚いているのか、部屋中に甘い香りが漂っている。

「陛下、お待ちしておりましたよ」
「白(パイ)徳妃、待たせたな」

　白徳妃は幻彩の後宮に登場する女性キャラクターで、美しい黒髪に猫のような黄色い瞳をした、胸が大きいグラマラスな体型の美女だ。
　なお、彼女は悪役なのだが、春蘭もとい花音はまだ彼女が悪役であると判明する地点まで攻略していない為、知る由もない。

「こちら、陛下が好まれる果物をご用意いたしましたよ」
「そうか、ありがとう」

　白徳妃は浩国の左腕に抱きつき、ふふっと妖艶に笑う。

「ほぅら、好きなだけお食べくださいな。私はあなたの全てを受け入れましょう……」
「白徳妃……」

　浩国の目の前には、南方から取り寄せた貴重な果物達がずらりと並ぶ。
　その時、春蘭の言葉が浩国の脳裏によぎった。

　――私にお任せください！　必ずや陛下が運動しても息切れしない身体にっ……！　私が陛下の肉体を改造してみせます！