しん……と静かな空気が流れ、春蘭の身体に突き刺さる。

「……そなた、そのような事が出来るのか?」

 静かな空気を撫できった浩国の言葉に、春蘭ははい! と返事をした。

「私、栄養とかそういうのには詳しいので!」
「……そうか」

 じっと春蘭の目を見つめる浩国。浩国に負けじと見つめ返す春蘭。二人を雄力が息を呑んで見守る。

「……俺に無理強いさせようとしているな?」
「い、いいえ!」
(多分偏食を無くすのは無理強いだと逆効果なんだよね、本で見た事ある)

 沈黙の末、浩国はわかった。と口にした。

「金賢妃を信じよう」
「……あ、ありがとうございます!」

 深々と頭を下げる春蘭を見下げながら、浩国は踵を返して部屋から退出していく。

「あ、そうだ。夕餉の件は明日でもいい?」
「は、はい! 陛下!」

 約束も取り付けた春蘭は、嬉しさのあまり両手を天に掲げる。

「や、やった――!」
「金賢妃様、強く出ましたな。陛下の偏食を無くした者はまだ誰一人としておりませんぞ?」
「ですが、やると決めましたので! あの、もしよろしければ雄力さんからもお力添えをお願いします……!」

 春蘭に対し、雄力は力強く首を縦に振った。

「勿論でございます! この雄力、必ずやお力となりましょう!」