(あ、そういえばこのシチュエーションどっかで見た事あるぞ……! そうだ、雄力(シィォンリー)だ!)

 雄力は皇帝・浩国に仕える武人で将軍である男性キャラクターだ。外見は爽やかで筋骨隆々。雄々しい雰囲気はまるで柔道家のそれとよく似ている。また茶色っぽい黒髪に垂れ目な茶色い瞳は愛嬌もあって人気は高い。
 そして雄力はストーリーで時々浩国を追いかけ回すシーンがあるのだ。理由は浩国が武術の鍛錬をさぼったりなどストーリーによって違う。そのシーンを春蘭は思い出したのだった。

(大丈夫かな……こっちこないよね?)

 雄力がいる方と浩国が潜んでいる棚を交合に見つめていると雄力が部屋に入ってきた。

「金賢妃様! 失礼いたします! こちらに陛下は入ってこられませんでしたか!?」

 雄力の大きな迫力のある声が部屋中に響き渡る。春蘭は一瞬両手で耳をふさいだ。

「あ……来ませんでした!」
(なんか浩国かわいそうだし、ここはかばってあげよう!)
「ふむ……そうでございましたか……」

 腕組みをして目を閉じる雄力を春蘭は注意深く見つめる。

(ど、どうなるんだろ……)

 すると雄力はかつかつと靴音を立てながら、浩国が潜んでいる棚へと歩き出した。