主人公らしい良い子だな。と春蘭は胸の中でつぶやきながら、周賢妃らと共に薬が全て部屋から出されていく様子を注視していったのだった。

◇ ◇ ◇

 調査の結果。白徳妃は浩国に催眠剤を常用させていた事が発覚した。浩国が倒れたのは催眠剤を薬師が多量摂取させた事によるオーバードーズが原因だったのである。
 そして宇翔達を襲い監禁させたのも白徳妃の命令によるものである事が露見した。ここからは調査で彼女達が自白した話をまとめる事にする。
 まず、催眠剤は香としてまかれた。だが、浩国が偏食を無くし体重を増加させていった為に香では効果が白徳妃の想定を下回るようになっていった。更に春蘭と浩国の距離が縮まったり香を臭い。と春蘭から注意を受け、そして薬師のドジにより香の入った容器が置きっぱなしにされていた事により発生した異臭騒ぎの件が原因で香は使えないと判断した結果、無味無臭の丸薬にして浩国に飲ませるという手段を取ったそうだ。

「白徳妃。今、語った事に対して間違いはないな?」

 回復途上の身体の鞭うって自ら取り調べに臨んだ浩国の顔にはこれ以上に無いくらいの怒りが籠っていた。

「ございません……」
「では、理由を申せ」
「勿論、陛下のご寵愛を得て皇后となり更には世継ぎをもうける為でございます……私は、頂に上りたかっただけなのですよ?」

 挑発的に笑う白徳妃の顔からは、浩国を甘やかしていた頃の面影は微塵も無かった。