周賢妃の冷静な言葉に春蘭はそうですね。と告げ、ふっと息を吐くと覚悟を決めた。

(私がやるしかない)
「兵士の方。白徳妃様を捕縛してください。そしてあの女官と共に事情聴取をお願いします。例の薬師の方は薬を全て運び終えたら女官と白徳妃様と同じ場所へと連れていってください。お願いします」
「はっ! おおせのままに!」

 兵士達はぞろぞろと部屋から出ていき、階段を駆け上っていった音が聞こえて来る。そして静かな空気が部屋中に流れていった。

「しっかり調査しましょう」

 春蘭の決意が籠った声が、力強く部屋中に響いたのと同時に白徳妃の叫び声がうっすらと聞こえてきたのだった。

「金貴妃様。もう薬は全て出し終えそうです」

 医師からの言葉に春蘭はありがとうございます。残りもお願いします。と返す。

「金貴妃様。疲れたでしょう。大丈夫ですか?」

 春蘭を気遣う武美人の言葉が春蘭の身体の奥までじんわりと染みわたっていく。

「! ありがとう。雪。私は大丈夫」