「なるほど。そのような大事が起きていましたのね。そういえば白徳妃様には長年薬師がついているという話を聞いた事ありますわ。ただの噂話ですけど」
「そ、そうなんですか?!」

 周賢妃はそうですわよ。とふっと自信満面な笑みを浮かべながらいつものような口調で語る。

「ではわたくしが白徳妃様の元へと向かいましょう。雪も行くでしょう?」
「はい。お……あ、いや、私も行きます」
「えっい、いいんですか?!」
「金貴妃様!」

 ここで医師が兵士達を連れてこちらへと戻って来た。ふふっと口元を手で押さえながら笑う周賢妃はでは、行ってまいります。と言って雪と共に後宮へと歩き出した。

「金貴妃様はここで待っていてくださいませ」
「いや……私も行きます!」
「お気遣い感謝します。しかし罠が待ち受けているやもしれません。身体を張るのは私達だけでよろしゅうございます」
(そうだよね……てか罠って……さっき私が言った事じゃん。ここは冷静になんなきゃ)

 白徳妃の元へと向かう彼女達の背中を眺めながら、春蘭はこっそりと後をつけていく。

(でも何かあったら困るし、近くにいよう)