「とりあえずこういう時は語り掛けた方が良いです。陛下がなぜこうなったのかをお尋ねしましょう。陛下。体調が悪くなったのはいつからですか?」

 朦朧ながらも宇翔を見た浩国は、ゆっくりと口を開く。

「ゆ。夕餉の後、から……」
「……何か食べましたか? 例えば薬など」
「……い、いつもより、薬の量が多かった、ような……気がする。それと、食材にも、入っていた、ような……」
「……! 宇翔さん、やっぱり丸薬です! 丸薬まだ余ってるか調べてください!」

 すると宇翔が吐き気を覚えたのかうえ……。と苦しそうにし始めた。

(……こういう時吐いたら喉を詰まらせないか心配になる。けど薬が悪さをしてるなら吐かせた方がいいかもしれない)
「すみません! どなたか桶を持ってきてください! 陛下、全部吐いちゃいましょう!」
「は、はる、らん……」

 浩国ははっきりと春蘭を見た。彼女の真剣な表情は彼にかかった催眠を少しずつ溶かしていく。

「うえっ……げほげほっ」
「陛下、焦っちゃダメですからね。でもって全部出しちゃいましょう!」
「うえええっ……」

 何度も嘔吐する浩国の背中を、春蘭はとんとんと軽くたたくようにさすり続ける。

(これで全て出し切ったら、楽にはなるはず……)