「なんですって?!　陛下がお倒れに?!」
「はい！　けいれんを起こしていらっしゃるそうで……！　夕食後から異変があったそうですが……！」
「わかりました！　すぐに現場へ向かいます！」
（頼む！　死なないでくれよ！　計画はまだ途中なんだから！　それに……死んでしまうのは悲しい！）

　春蘭は走って浩国のいる場所へと向かった。

◇　◇　◇

　彼女によって呼び出された薬師のうち、2名は春蘭を追いかけるようにして走っていったが当の浩国に丸薬を持った薬師だけは、その場に立ちすくんだままである。

「すみません！　あなたも応援を頼めますか?!」
「あ……」

　女官に応援を頼まれた彼女だが、足が震えて一歩が踏み出せないでいる。
　なぜならこれは薬の副作用。薬の飲み過ぎによるものだと浩国が倒れた原因を彼女は察していたからだ。

「早くいきましょう！」

　結果的に女官達に促される形で彼女も走って現場へと向かって行く。その様子を白徳妃付きの女官が見ていた。

「！　あれは……！　白徳妃様にご報告せねば！」

血相を変えた女官は途中で何かに躓いて転びそうになるも、白徳妃の元へと走ったのだった。

◇　◇　◇

　浩国がいたのは皇帝専用の閨の上だった。身体を横向きにして横たわる彼の身体はまだけいれんが続いており、意識も朦朧としているのが一目でわかる程である。
　どこからか聞いたのか、春蘭と同時に宇翔も現場へと到着した。

「ねえ、宇翔さんこれは……！」