(私は悪くない。だって命じたのは白徳妃様だもの。それにあの量ならきっと陛下は私達を庇ってくれるはず)

◇ ◇ ◇

 薬師達が春蘭の目の前にずらりと並ぶ。

「すみません。こんな時間に来ていただいて」
「いえいえ。金貴妃様。ご心配なく」
(さて、こっから誰か知っている人がいたらいいけど……)
「単刀直入に聞きますが、陛下に丸薬を処方した方はこの中にはいらっしゃいますか?」

 春蘭の質問に対し、薬師は皆知りません。と答える。しかし一名だけ挙動不審な状態を見せている者がいた。顔色が悪く、何かを隠しているような怪しさがにじみ出ている。

(怪しいな)
「あの……あなた、顔色悪いですけど……」
「金貴妃様!」

 すると女官が慌てた様子で部屋へとやってきた。

「大変でございます! 陛下がお倒れになりました!」