「私はこれまで陛下へ栄養を付ける目的で丸薬を処方した事は一切ありません」

 宇翔の言葉ははっきりとしていた。

「宇翔さん……」
「……その丸薬を処方したのは誰か、調べるべきです。私が医者達に命じて調査に協力いたします」
「で、ですがその身体で大丈夫なのですか?!」
(それに私は貴妃になったんだから、宇翔にあれこれさせるよりこの立場を利用した方が良い……)

 春蘭は宇翔へ今はおとなしく療養した方が良いですよ。と語った。確かに救出されたばかりの宇翔にあれこれ指示を出して調査する体力はまだないだろう。

「貴妃である私に任せてください。それに下手に宇翔さんが動いたらまた襲われたら大変ですから。ここは警備もしっかりしてますから大丈夫かとは思いますけど……」
「……! では、よろしくお願いします。金貴妃様」
「はい。まずは身体をしっかりと休めて英気を養ってください」

 春蘭は宇翔と別れると、薬師の詰所にいた薬師達全員へ、栄華宮へと来るように。と告げた。