(それから山菜は天ぷらにしたら食べられるようにはなったんだよね……)

 宇翔は得意げに指を立てながら、会話を続ける。

「そして魚は何と言っても生臭さが無理! と仰っておりました。肉も同様でございます」
「そうなのですね。となると……味付けが濃いものの方が好みなのでしょうか?」
「金賢妃様のおっしゃる通りでございます。味付けが薄味で苦手な味わいが隠しきれていなかったり、独特な味付けはあまり好みではありません。果物はその限りではございませんがね」

 宇翔の話を聞いた春蘭は、腕を組む。

(そうなのね……じゃあ、山菜を天ぷらにしてみたら食べそうかもしれない)

 天ぷら食べてくれるだろうという予感を抱きつつ、宇翔と共に話を詰めていく春蘭。話の内容は全て女官が書き留めてくれている。

「ほほう、今まで私含めてたくさんの方々が陛下の偏食を無くそうとしてまいりましたが、金賢妃様のやる気は一段に高いとお見受けします」
「栄養をつけるには、偏食を無くしてからの方が幅が広がるでしょうから」
「確かに金賢妃様のおっしゃる通りでございますね。私も出来うる限りお助け致しましょう」

 にっこりと微笑む宇翔に春蘭はよろしくお願いします! と頭を下げる。

「それにしても金賢妃様が栄養学にご興味があるとは初めて知りました。熱心でございますね」
「いやあ、それほどでも……」
(あ、やばい。沼りそう……)