「宇翔さん。大丈夫ですか?」

 簡素な架子床に横たわる宇翔の顔色は青白く病人のそれと変わらない。更に身体も痩せてしまっていた。春蘭は用意した野菜スープを彼に飲ませる。

「ゆっくり飲んでくださいね」
「はい……ありがとうございます。ずっと食事が取れていなかったので助かります」

 ふうっと安堵の表情を浮かべながら息を吐いた宇翔。彼に春蘭は誰に襲われたのですか? と問う。

「女性なのはわかったのですが、顔までは分かりませんでした。布で覆っていましたので」
「そうでしたか……」
「これは私なりの推察なのですが、おそらく私が宮廷にいると不都合な事があるから、襲われたのだと思います」

 宇翔の言葉に春蘭は、浩国が飲み始めた丸薬の事を思い出す。

「あの、最近陛下は丸薬を飲み始めたと伺いました。その丸薬を飲み始めてからは顔色がよくないように感じる方もいらっしゃるそうで」

 ――ああ、それなら最近栄養を付けるためだと言って丸薬を摂取されていたような……。
 ――あの薬を飲み始めてから、顔色がよろしくないようにお見受けすると良いますか……食事を残す事も増えましたね。

 宦官が言っていた言葉が、脳の中に浮かんで離れない。