春蘭は宦官にどのような丸薬を飲まれていらっしゃるのですか? と聞くと宦官は黒い丸薬だと答える。

「あの薬を飲み始めてから、顔色がよろしくないようにお見受けすると良いますか……食事を残す事も増えましたね」
(そうだったの!? あとで宇翔に聞かないと)

 結局、捜査は昼過ぎまで行われたが栄華宮から疑わしいものは全く見つからなかった。

「調査にご協力くださり、ありがとうございました。金貴妃様」
「いえ。こちらこそ」
(これで私の身の潔白は証明された……と信じたい)

 去っていく宦官達。ここで思い立った春蘭がひとりの宦官の腕を捕まえた。

「あの! 陛下にお会いできませんか!?」
「……お話しておきます。許可が降りたらまた栄華宮に来ますので」
(これ……だめなやつかも)

 夕方。ひとりの中年くらいの宦官が春蘭の元を尋ねてきた。

「少しだけなら。という事でございます」
「わかりました。参ります」

 お茶をごくりと飲み込み椅子から立ち上がると、深呼吸をしてから一歩を踏み出した。