「とにかく、栄華宮の厨房を調査させていただきます」
(毒なんてもの使ってないんだから堂々と調査を受ければいい……よね?)

 春蘭ははい。と大きく首を縦に振って了承すると、栄華宮の厨房に大勢の宦官が現れ、怪しいものが無いか調査が行われ始めた。

(それにしてもいきなり浩国がそんな事言うだなんて……おかしい。もしかしてなんか飲まされてたりするんじゃないの?)

 焦りながらも冷静に浩国の身に何かあったと考える春蘭。これは前世にて駅伝の大会でペース配分などを考えながら走る技を身に着けた事から来ている、いわば昔取った杵柄的なものだ。

「あの、ちょっとよろしいですか?」

 意を決して春蘭は現場を指揮する宦官へ語りかけた。

「金貴妃様。いかがなされましたか? 調査が終わるまではここにいてもらいたいのですが」
「あのですね。陛下……食事中に何か薬でも摂取してらっしゃいます?」
「ああ、それなら最近栄養を付けるためだと言って丸薬を摂取されていたような……」
(絶対それだ!)