実は白徳妃の持つ香には催眠成分が含まれているものである。この催眠成分は男性にのみ作用するもので、皇帝である浩国からの寵愛を得るべく使っていたものだった。

(香では効果が得られにくくなっていたけれど、遂にはここまでくるとは……これはどうにかしなければ)

 用意されたお茶を飲み、心を落ち着かせながらどうすべきかを思案する白徳妃の目は、獲物を捉えた蛇のような鋭い眼光を放っている。

(陛下は私のものよ……誰にも渡さないわ)