栄華宮から去っていく浩国の背中を春蘭が見送っていると、そこへ白徳妃が女官を伴って現れたのが見えた。彼女はこれみよがしに浩国の左腕に抱き着くと、何やら黒い鉄瓶のような丸い容器を浩国へと差し出している。
(あの入れ物? 何だろう。気になるなあ……)
春蘭は現場へと向かうと白徳妃は慌ててその容器を隠した。
(怪しい。すんごい怪しい!)
「あの、白徳妃様。そちらの容器はなんでございましょうか?」
春蘭の質問に白徳妃は何かを隠すようにほほほ……。と笑った。
「お香でございます。良い匂いがするのですの」
(……の割にはなんか臭くない? 私の感覚がおかしいだけかな?)
白徳妃の笑顔は硬いままだ。春蘭は言うべきか否か迷ったが、ここは浩国の身に何かあってはいけないという思いが先導する形となる。
「あの、白徳妃様。私からは申し上げにくいのですが匂いがちょっと臭いようです……」
「え」
「陛下。陛下はどう思われますか?」
春蘭が浩国に尋ねると、浩国は顔にしわを寄せる。
「確かに春蘭の言う通りあまり良い匂いではないな。すまんがそれは受け取れない」
浩国の言葉に白徳妃は驚きの声を挙げた。
(あの入れ物? 何だろう。気になるなあ……)
春蘭は現場へと向かうと白徳妃は慌ててその容器を隠した。
(怪しい。すんごい怪しい!)
「あの、白徳妃様。そちらの容器はなんでございましょうか?」
春蘭の質問に白徳妃は何かを隠すようにほほほ……。と笑った。
「お香でございます。良い匂いがするのですの」
(……の割にはなんか臭くない? 私の感覚がおかしいだけかな?)
白徳妃の笑顔は硬いままだ。春蘭は言うべきか否か迷ったが、ここは浩国の身に何かあってはいけないという思いが先導する形となる。
「あの、白徳妃様。私からは申し上げにくいのですが匂いがちょっと臭いようです……」
「え」
「陛下。陛下はどう思われますか?」
春蘭が浩国に尋ねると、浩国は顔にしわを寄せる。
「確かに春蘭の言う通りあまり良い匂いではないな。すまんがそれは受け取れない」
浩国の言葉に白徳妃は驚きの声を挙げた。