麗美の笑みからは満足そうな気持ちが表れていた。

(おばあちゃんの料理かあ……おばあちゃんっ子だったんだなあ……葱油餅もおばあちゃんがたまに作ってくれてたって言ってたし)

 麗美と解散した春蘭は、自室に戻る。雄力もすでに自室へと引き揚げているようだ。

(明日は早く起きよう……)

 自室に戻った春蘭は、そのまま重力に負けるようにして架子床に倒れ込んだのである。

◇ ◇ ◇

 麗美達馬族との対談から彼女と雄力との婚儀前日まではあっという間に時間が過ぎていった。この婚儀により馬族は彩国と同盟関係となる事となっている。
 春蘭は、妃としての務めもこなしつつ料理人らと婚儀の宴に出す品々を考え、浩国は皇帝として激務をこなしながらも運動と食事は欠かす事なく過ごしてきていたのだった。

「陛下。おはようございます」

 朝、春蘭の住まう栄華宮に浩国が配下を伴い現れた。浩国の肉体は最初に出会った時よりも健康的な雰囲気を醸し出している。

「春蘭。良かったら共に昼餉を食べないか?」
(お誘いが来た!)
「はい! 勿論でございます!」

 いきなりの約束に春蘭の胸の中は浮つき始めた。しかしすぐに理性で蓋をする。

「ではまた昼にここに来る」
「はい陛下。お待ちしております」