「春蘭。質問だがこの運動は毎日した方が良いのだろうか?」
「はい。出来れば毎日した方が望ましいですね。ただ、例えば腰の痛みがあるようでしたら、腰に負荷のかかる運動は止めた方が無難ではあります。ひざなど他の部位も同様でございます」

 彼女の説明を頷きながらしっかりと聞いた浩国はわかった。と告げるとまた運動する。とだけ言った。

「無理はいけませんよ?」
「大丈夫。明日の夜明けに雨が上がっていたら走り込みもしないとな。春蘭、ありがとう」
(運動に対しても熱心になっている。心変わりがすごいなあ……)

 春蘭は浩国の自室から去っていく。広間ではまだどんちゃん騒ぎが続いていた。その中には麗美と雄力の姿もあった。

「どうですか? 宴楽しまれておいででしょうか?」
「はは。彩国の兵士達がここまで楽しそうにしていらっしゃるのを見るのは初めてですから」

 麗美は用意された酒には口を付けず、代わりにお白湯を飲んでいるようだ。それは雄力も同じである。

「こんなに楽しい光景を見るのはいつぶりでしょうね」

 麗美の目にはほんの少しだけ、寂しさがにじみ出ていたのを春蘭は見逃さなかった。