恋人がほしいとゲームでは語った事のない彼女がこのタイミングで所望するとは信じられない。と言わんばかりに春蘭は混乱していた。

(ど、どうするの?)
「陛下。お願いしますとも」
「……」

 浩国も腕組みしながら黙り込んでしまった。静まり返った場を繋ごうと、春蘭は口を開く。

「ちなみに麗美様は、どのような殿方が好みなのですか?」
「ああ、春蘭様。やはり強い方が好みでございますね」
(となると……雄力……)

 雄力はすでに料理を食べ終えて、茶器に入ったお茶を味わっていた。
 だが、雄力は将軍。馬族の族長である麗美との婚約はさすがに立場上厳しいだろう。

(それにこちらからだけ、人材を寄越すのはフェアじゃない)

 春蘭はここで考え中の浩国に近づいた。

「陛下。ここは誰かと誰かを交換しませんか? さすがに麗美様と誰かの婚約は難しいでしょう」
「そうだな……」
(それしか方法はないような)
「麗美殿。そなたの配下の者でまだ未婚の者はいないか?」

 浩国からの質問に、麗美は何人かおります。と答える。

「その者を彩国の要人に嫁がせ、我が国の有望な兵士を馬族のおなご……そなたの配下と結婚させる。と言うのはどうだろうか?」
「陛下……私はどうなるのですか?」