春蘭が鍋の〆に雑炊を選択したのは良い結果につながったようだ。浩国もたまに麗美へ得意げな表情を浮かべつつ、雑炊をよく味わって食べている。

(浩国、なんかもくもくと食べてる感じで可愛いな……)
「陛下。先ほどから自慢げな表情をしておりますが、いかがされました?」
「ああ、麗美殿。我が妃の作る料理は美味しいと思ってな」
「まあ。惚れていらっしゃるのですね?」

 すると浩国が気管支辺りに米粒を詰まらせたのか、いきなりむせ始めたので春蘭は慌てて彼の背中をさすった。
 げほげほっ! と苦しそうにせき込む彼の背中を時には叩きながら春蘭は浩国に声をかけ続ける。

「だ、大丈夫ですか?!」
「すまな……はる、らん……み、っみずをっ……なに、か、のみものを……」
「誰か! 水を持ってきてください! お白湯やお茶でも構いません!」

 兵士がどたどたと慌てて茶器に入ったお白湯を持ってきてくれたので、春蘭はそれを受け取り、浩国へと手渡した。

「ごくごく……はあっ」
「陛下、さきほどは失礼いたしました。聞かなかった事にしてくださいませ」
「だ、大丈夫だ。麗美殿」
「あ、はい……」

 さすがにここまで浩国がむせるとは思わなかったのか、麗美はまずい。と小さく口に出してしゅん……としてしまった。