麗美はそれまで纏わせていた硬い雰囲気から、嬉しそうな雰囲気へと変わった。

「良い匂いしますね」

 浩国達は用意された白い小皿に具材を移して冷ましてから口の中に入れていく。雄力を除いては。

「うまい! やはり金賢妃様のお作りになる料理は美味でございますなあ!」

 雄力の大きな声に萎縮されたのか、馬族の女性達はやや引いたような表情を見せる。しかし、具材を口に入れた瞬間驚きの表情へと変化した。

「美味でございます……!」

 麗美も何度も美味しい。と呟きながら鍋を頬張っている。
 
「春蘭、美味いな。身体が温まる。ほら、そなたも食べると良い」
「では、陛下のお言葉に甘えて」
「さっきの前菜も美味かった。甘辛な味わいが食欲を刺激させてくれる」

 にこやかに笑いながら鍋料理を味わう浩国に、麗美はあらぁ……。と口を開けた。

「麗美様。いかがなされましたか?」
「ああ、春蘭様。陛下がとても嬉しそうな顔をしているものだから……。それに、あなたの作る料理、とても美味しくてこれで最後になるのは勿体ないくらい」

 妖艶に、だけれども純粋な笑みを見せた麗美に春蘭はそう言う笑顔も出来るんだ……。と胸の中で言葉を吐いた。