「麗美殿。早速だが、我々としてはこれ以上の戦いは望んでいない。闇雲に民が傷ついていくのは見たくないのだ」
浩国が敬語ではなくいつもの口調で静かに告げた。麗美は右眉をぴくっと動かす。
「陛下。何か企んでおりますか?」
眉間に皺を寄せ低い声で浩国を疑う麗美に対し、浩国はそのようなつもりはない。ときっぱりと返す。
「むしろ、これ以上戦が続けば困るのはそちらの方では無いか? 麗美殿」
「っ!」
馬族は彩国程の蓄えはない。それに北方に位置する関係上冬になれば農業がほとんど出来ないくらいに過酷な寒さがやってくる。
だから馬族はたびたび、国境を越えて略奪行為を繰り返してきたのだ。
「聡明な麗美殿なら、わかるであろう」
「だが。此度はそう簡単に引くわけにはいかないのでございますよ」
麗美と馬族の屈強な女達がじろりと浩国を睨みつけた。
「我が同胞が殺されたのですよ? これを許す訳には参りますまい……!」
「……っ。麗美殿」
「あなただって仲間が殺されれば簡単に許すはずはないでしょう?」
麗美はちらりと春蘭の方を向いた。視線があった春蘭はびくっと肩を跳ね上げる。
浩国が敬語ではなくいつもの口調で静かに告げた。麗美は右眉をぴくっと動かす。
「陛下。何か企んでおりますか?」
眉間に皺を寄せ低い声で浩国を疑う麗美に対し、浩国はそのようなつもりはない。ときっぱりと返す。
「むしろ、これ以上戦が続けば困るのはそちらの方では無いか? 麗美殿」
「っ!」
馬族は彩国程の蓄えはない。それに北方に位置する関係上冬になれば農業がほとんど出来ないくらいに過酷な寒さがやってくる。
だから馬族はたびたび、国境を越えて略奪行為を繰り返してきたのだ。
「聡明な麗美殿なら、わかるであろう」
「だが。此度はそう簡単に引くわけにはいかないのでございますよ」
麗美と馬族の屈強な女達がじろりと浩国を睨みつけた。
「我が同胞が殺されたのですよ? これを許す訳には参りますまい……!」
「……っ。麗美殿」
「あなただって仲間が殺されれば簡単に許すはずはないでしょう?」
麗美はちらりと春蘭の方を向いた。視線があった春蘭はびくっと肩を跳ね上げる。