またまた一週間後。

「みーなとっ。実は遊園地のワンデーパス手に入ったんだ。週末一緒に行こう!」
「お前受験のくせに遊んでばっかで平気なのかよ!?」
遠出したことでリミッターが外れたのか、もう週一で圭一に遊びに誘われるようになっていた。
やっぱり彼は大学に進学するらしい。まぁ、大丈夫だと信じたいけど……。
「湊が俺の受験を心配してくれるなんて嬉しいなぁ。でも大丈夫、俺なら何とかなる。もっと言えば受験なんかスキルアップの一つとしか捉えてないもん」

あんなこと言ってる……。
正気か確かめたいぐらいだ。でも彼と話してると本気で杞憂の気がしてくるから、ある意味魔力かもしれない。

初めて会った時から、それはずっと。
彼に振り回され、そして惹き付けられていた。

「落ちても俺のせいにすんなよ」
「ないない。この天才的な圭一君に限って」
「そう言って余裕かましてる奴ほど落ちたり……」
「じゃあ決まり! 週末は遊園地デート!」
駄目だ。もう聴いてない。
溜息をついて、軽く走る彼の後に続いた。
「あぁ。心配しなくても、湊が受験の時はちゃーんと面倒見てあげるよ。いや……」
淀みなく喋ったり、考え込んだり、意味不明なアクションを起こしたり。

「一生。俺の命が尽きるまで面倒見てあげるから、安心してね」
「不安」

常に忙しい。
一緒に走らされるから時間を忘れる。
これからもずっとこんなんかな。そう思ったらウンザリして、今から疲れそうだ。

こんな奴を好きになったのが運の尽き。……いや、好き……じゃない。
大好きなんだ。
愛してるっていうのはまだ当分口に出せそうにないから、心の中だけに留めておく。

本当は俺だけを見てほしくて、けどそんなことは間違っても言えなくて。まだまだ胸焼けしそうなほど甘い台詞を聞かせてほしい、とも言えない。でもそんな恥ずかしい願望を彼は笑って叶えてくれそうだ。

もうちょっとだけ寄っかかっていたい。

世界で一番かっこつけてる、大好きな恋人に。