大きなため息をつく。

 かといって他に誘える友達なんていないしなあ。

 同級生の友達はみんな結婚して出産をして、集まれば子供の話ばっかりだし。

 私が推しの話をしても、夢なんて見てないで早く結婚したほうがいいよと困った顔をされるし……。

 そんな感じで会うのが苦痛になり、いつの間にやら学生時代の友達とは何となく疎遠になっちゃったんだよね。

 会社の同僚にはアイドルオタクなことを話してないし、休日を共にするほど親しくもない。

 かといって一人で若い女子の園に突撃できるほどの勇気もないし……。

「ええい、思い切ってリプしちゃお」

 私は悩んだ末『もしよかったら一緒に行きませんか?』とリプライを送った。

 はあ、送ってしまった。

 ドキドキドキドキ。

 心臓の鼓動が鳴りやまない。

 見ず知らずの人と会ってはダメと親に言われて育った世代だし、なんとなく怖いイメージがあって、今までネットで知り合った人と会ったことは一度もない。

 どうしよう。もし変な人だったら……。

 いや、でもロコさんは文章を見る限りは丁寧で常識のあるきちんとした人に見える。

 それに私も学生じゃなくてもう三十代だし……。

 そんなことを考えながらスマホを握りしめていると、すぐさまブブッとスマホが震えた。

 えっ、早っ。

 まさかと思い見てみると、『DMします』とだけ返事があった。

 うそ。やった。

 それから何度かDMのやり取りをし、かくして私は一度も会ったことが無い推し活仲間とスイーツランドに行くこととなった。