どうやら娘さんがユウキくん、お母さんがイツキくんのファンみたい。
「最初は私が好きだったんだけど、居間でずっと曲とか動画を流していたら気づいたらお母さんも好きになって」
娘さんが教えてくれる。
「そうだったんですね」
いろんなハマりかたがあるんだな。
感心している私たちに、お母さんが恐る恐る尋ねる。
「あのう、お二人も親子ですか?」
私とロコさんは顔を見合わせた。
確かに年は親子ほど離れてるかもしれない。
でも――。
「いえ、友達です」
私の口から自然とそんな言葉が出た。
本心だった。
だってロコさんとは今日が初対面なのに、まるで何十年も友達だったみたいに気が合うんだもん。
ロコさんは少しキョトンとした後、嬉しそうに頬をほころばせた。
「ええ。そうね」
スイーツランドを出た私たちは、雑貨屋さんで推し活に使えそうな雑貨を漁ったり、プリクラ屋さんで推しのフレームで一緒に撮れる写真を撮ったりした。
そして帰るころには、もうすでに空は赤く染まり、冷たい風からはほんのりと夜の気配が立ち込めていた。
「それじゃあ、私はこれで」
ロコさんが手を振る。
「はい、さようなら」
私も手を振って別れた。
なんだか夢みたいな、でも充実した一日だったな。