「ロコさんは、どうしてレイくんを応援してるんですか?」

 私が尋ねると、ロコさんは少し恥ずかしそうにはにかみながら答えた。

「きっかけは感染症でパートが休みになったことかしら。とにかく家にいると暇で、そんな時、オーディション番組のCМがテレビで流れてきて、それで見てみようと思ったの。それで、初めはレイくんは最年少だしとにかく可愛いくて、息子みたいって思いながら応援してたのよね。そうしたらレイくんは十二歳のころから練習生でろくに学校にも行ったことがないって聞いて」

「苦労してるんですね」

「ええ。でもある日インタビューで『青春をやり直したくはないですか』って聞かれて、そしたらレイくんそれに『僕にとっては今が青春です』って答えてたの。『毎日が楽しくてキラキラ輝いてるなら、例え学生じゃなくてもそれが青春です』って。その受け答えを聞いてなんだか感動しちゃって。なんてけなげな子なんだろうって」

 ロコさんはほんの少しだけ涙ぐみながら答えた。

 そうなんだ。そんなエピソード、初めて聞いた。

 女学生みたいな純粋な瞳でレイくんを見つめるロコさん。

 その顔は誰よりも美しく輝いて見えた。