「そしたら去年、不意にSNSにタケルくんがオーディション番組に出てるって映像が流れてきて――」

 当時十五歳だった少年はすっかり二十五歳の青年に成長していた。

 アイドルから一般人に戻った彼は焼き肉屋に就職していたけれど、それでも夢をあきらめずに歌とダンスのレッスンを積んでオーディション番組に挑んだのだと語っていた。

 彼の熱意に、夢に再び挑む姿に、そして十年前と変わらないキラキラ光る意志の強い瞳に、私は胸を打たれた。

「でもネットでは新しくデビューするアイドルなのに二十五歳は年を取りすぎてるとか前にデビューした経歴があるとフレッシュさがないって言う人も結構いて――それでタケルくんのアカウントを作って応援しようと思ったんです。タケルくんの良さを知ってもらうために」

 私が熱弁すると、ロコさんはうんうんとうなずいて「そうよね」とドリンクを飲み干した。

 しまった。少し語りすぎたかな。