最も早く我に返ったのは鳥籠の中の茨だった。
「おのれ謀ったな!」
彼は鳥籠の柵に二本の足でしがみつき、威嚇するように翼を広げて喚いた。
朝陽が鳥籠を飾る蔦を取り払い、天辺の輪を掴んで会話しやすいように持ち上げてくれた。
「ええそうです。謀りましたけど何か?」
これまでの意趣返しも込めて、何食わぬ顔で言ってやると、茨はぶわっと全身の毛を膨らませた。
まさに怒髪冠を衝かんばかりだったが、彼は俎上の魚ならぬ鳥籠の鳥。恐れるに値しない。
「狐はいつ正気に戻ったというのだ!? これまで演技していたのか!? 小娘を好いていると言いながら平気な顔で悪し様に言っていたのか! 貴様の好意はその程度か!」
翼をバタバタとせわしなく動かしながら喚く茨。
「知ったような口を利かないでもらえますか」
朝陽の声は限りなく冷ややかだった。
「いくら演技で付き合ったとはいえ、美緒の悪口なんて言いたくなかったですよ。感情のままにあんたをぶん殴ってやればどれだけすっきりしたことでしょうね。でも、美緒はそれを良しとしなかった。洗脳されたふりをしたおれが何を言っても聞かなかったことにするから、辛いだろうがどうか耐えてくれと言ったんです。だからおれは自分の感情を殺した。美緒の信頼を裏切って嫌われることが一番辛いですからね。でもそれももう終わりです。あんたは負けた。良枝さんには腕力で、美緒には知力で負けたんです。現実を受け入れ、降伏してください。でなければ」
朝陽は鳥籠を持ち上げたまま篝火に近づけ、うっすらと笑んだ。
「焼き鳥にしますよ?」
これまでのストレスの大きさを物語るように、背後にどす黒いオーラが漂っている。目が本気だった。
「おのれ謀ったな!」
彼は鳥籠の柵に二本の足でしがみつき、威嚇するように翼を広げて喚いた。
朝陽が鳥籠を飾る蔦を取り払い、天辺の輪を掴んで会話しやすいように持ち上げてくれた。
「ええそうです。謀りましたけど何か?」
これまでの意趣返しも込めて、何食わぬ顔で言ってやると、茨はぶわっと全身の毛を膨らませた。
まさに怒髪冠を衝かんばかりだったが、彼は俎上の魚ならぬ鳥籠の鳥。恐れるに値しない。
「狐はいつ正気に戻ったというのだ!? これまで演技していたのか!? 小娘を好いていると言いながら平気な顔で悪し様に言っていたのか! 貴様の好意はその程度か!」
翼をバタバタとせわしなく動かしながら喚く茨。
「知ったような口を利かないでもらえますか」
朝陽の声は限りなく冷ややかだった。
「いくら演技で付き合ったとはいえ、美緒の悪口なんて言いたくなかったですよ。感情のままにあんたをぶん殴ってやればどれだけすっきりしたことでしょうね。でも、美緒はそれを良しとしなかった。洗脳されたふりをしたおれが何を言っても聞かなかったことにするから、辛いだろうがどうか耐えてくれと言ったんです。だからおれは自分の感情を殺した。美緒の信頼を裏切って嫌われることが一番辛いですからね。でもそれももう終わりです。あんたは負けた。良枝さんには腕力で、美緒には知力で負けたんです。現実を受け入れ、降伏してください。でなければ」
朝陽は鳥籠を持ち上げたまま篝火に近づけ、うっすらと笑んだ。
「焼き鳥にしますよ?」
これまでのストレスの大きさを物語るように、背後にどす黒いオーラが漂っている。目が本気だった。