「『ご用件は何かしら?』だの『警戒しないでちょうだい』だの、淑やかな令嬢ぶって話した相手が実は娘でしたオチ!! 娘に向かってウフフとか、ウフフとか……ああああああなにこの羞恥プレイ!? 過去の自分を思い出すだけで顔から火が出そうだわあああ!」
母は頭を抱えて激しく首を振った。
尻尾のように括った後ろ髪が動きに合わせてばしばし跳ねている。
(あー、やっぱりお母さんだー)
美緒は半笑い。
幽子と母が結びつかなかった理由はそこにある。
外見も声も違ったし、何より母は幽子とは全く正反対のキャラだったのだ。
「ああでも恥ずかしがってちゃダメよね、娘だったんだもの、うん、美緒。記憶がなかったとはいえ気づかなくてごめんねえ」
母は右手を左右に振った。照れ隠しなのか、ノリが軽い。
「ううん、それはいいんだけど、どうしてここに? 学校から出られないんじゃ……」
「あー、あれねー」
母は後頭部を掻いた。
「思い出してみればそんな大した理由じゃなかったのよ。いや、大した理由だったのかな? まあ積る話はまた後で。いまは鬼退治が先決よ!」
「ええ? まあ……うん」
そう言われれば従うしかなく、美緒は泉のように湧き出る言葉を押し殺し、改めて烏丸たちのほうを見た。
烏天狗の一族は鬼の一族を包囲していた。
鬼の一族は抵抗を諦めたらしく、全員が地面に跪いている。
「烏丸様、どうか茨様の命だけはお助け下さい」
「お願いいたします」
茨は籠の中で黙って哀願する鬼たちを見ている。
烏丸は「ふうむ」と唸って後頭部を掻いた。
「黒田はどこにおるのだ?」
「別棟の地下でございます。渡り廊下の先の……む?」
渡り廊下を見て、説明していた鬼が怪訝そうな顔をした。
母は頭を抱えて激しく首を振った。
尻尾のように括った後ろ髪が動きに合わせてばしばし跳ねている。
(あー、やっぱりお母さんだー)
美緒は半笑い。
幽子と母が結びつかなかった理由はそこにある。
外見も声も違ったし、何より母は幽子とは全く正反対のキャラだったのだ。
「ああでも恥ずかしがってちゃダメよね、娘だったんだもの、うん、美緒。記憶がなかったとはいえ気づかなくてごめんねえ」
母は右手を左右に振った。照れ隠しなのか、ノリが軽い。
「ううん、それはいいんだけど、どうしてここに? 学校から出られないんじゃ……」
「あー、あれねー」
母は後頭部を掻いた。
「思い出してみればそんな大した理由じゃなかったのよ。いや、大した理由だったのかな? まあ積る話はまた後で。いまは鬼退治が先決よ!」
「ええ? まあ……うん」
そう言われれば従うしかなく、美緒は泉のように湧き出る言葉を押し殺し、改めて烏丸たちのほうを見た。
烏天狗の一族は鬼の一族を包囲していた。
鬼の一族は抵抗を諦めたらしく、全員が地面に跪いている。
「烏丸様、どうか茨様の命だけはお助け下さい」
「お願いいたします」
茨は籠の中で黙って哀願する鬼たちを見ている。
烏丸は「ふうむ」と唸って後頭部を掻いた。
「黒田はどこにおるのだ?」
「別棟の地下でございます。渡り廊下の先の……む?」
渡り廊下を見て、説明していた鬼が怪訝そうな顔をした。