今日は、球技大会で撮影する写真についての会議が終わった後、時間があれば、いつものようにバスケ部にお邪魔して、写真を撮ろうと思っていた。今日は一番乗りだ。
「お疲れさまー」
 次に来たのが、一年生の時、一緒のクラスだったことを機に仲良くなった泉太郎が来る。僕の唯一の友達…だった。泉太郎は、身長はやや高めで、短めの茶髪が特徴的。気さくで誰とでもすぐに打ち解ける性格から、部活でも人気があり、部員たちのムードメーカー的存在であるし、クラス替えをしてから、色んな人と歩いているのを目にする。
「お疲れ!」
「由真くんってさぁ、最近、バスケ部に出没しているの?」
 後ろから肩に手を置き、顔を覗かせる。
「えっ⁉ それをどうして…」
「同じクラスのバスケ部の友達が言ってた」
「もしかして、津野くんと坂下くん?」
「あぁ…うん」
「今までスポーツをしている人の写真を撮ってこなかったから、撮ってみようかなと思ってたら、体育館に吸い寄せられた」
「へぇー。そうなんだ。由真くんが最近、部活で会うたびに嬉しそうにしているのを見て、疑問に思っていたんだけど、その理由が分かってすっきりしたわ」
「ごめん」
「何で謝るんだ?」
 泉太郎は目をパチパチさせる。
「ごめん。あっ」
「このままだとループしちゃうから」
「ごめん」
 泉太郎は、聞き分けの悪い由真を見て目を細める。
「ご、す、ありがとう」
 「ごめん」と再び言いそうになったが、掻き消し、「すみません」も謝ってしまっている。だから、「ありがとう」で上書きをする。
「今日も、バスケ部?」
「球技大会の写真の話が終わったら行こうと思っている」