ゴールデンウィークが明け、外は新緑がまぶしいほどに輝いていた。校門近くの木々は、柔らかな緑の葉を風に揺らし、木漏れ日が地面に優しく差し込んでいる。青空が広がり、雲ひとつない快晴。風は心地よく、頬に触れるたびに春の終わりと初夏の訪れを感じさせる。

「今日は、球技大会どの種目に出るかを決めていきたいと思います」
 教室に生徒たちのやる気に満ち溢れた声が聞こえる。
授業より、行事の方が、友達と和気藹々としていて楽しいという人の方が多いからだろう。僕は友達がいないし、スポーツも苦手だから、教室で授業を受けている方がまだいい。
「いつものように種目はサッカーとバスケ、ドッチボールです」

〇サッカー11人  男5 女6
〇バスケ 10人(5×2)男5 女子5
〇ドッジボール 12人 男5 女7

 晴陽、蓮、功祐はもちろんバスケに手を挙げていた。俺は、運動神経に自信がなかったので、ドッジボールに手を挙げたが、希望者多数で、じゃんけんになった。負けたら、サッカーかバスケのどちらかになってしまう。
「最初はグー、じゃんけんぽん」
 ドッジボールの女子はすんなり決まったのに、男子は定員5人に対し、7人集まった。
結果、由真とテニス部の須藤が負けてしまう。
こういう時、いつも負けてしまうんだよな……
「ツッキ―、バスケおいで」
 声がする方に視線を移すと、漣、功祐が、由真が動くまで、「ツッキ―」コールを続けている。それに、晴陽もおいでと手招きする。よし、三人がいるのなら、心強い。気づけば、黒板の空いている一つのバスケ枠に、名前を書きに行っていた。
すると、須藤は由真の横に立ち「ありがとう」と由真に伝えた。
どうやら、彼は、小・中とサッカー部だったらしい。じゃあ、なぜ、ドッジボール選んだのか。
「ツッキ―、おいで」
 蓮、功祐が手を振り、由真を呼ぶ。由真は、足を引っ張らないように頑張ろうと心の中で火をつける。バスケを選んだ人たちで、チームをどうするか話し合う。結果、由真は、晴陽、功祐、しずく、野球部の高橋翔人、バドミントン部の佐野優那と同じチームになった。思ったより、早く決まったので、軽く作戦会議をしていた。