あの二人、どうなったかな…ちゃんと、思い伝えれたかな…
最後に出来ることをしたのだけど、あぁ、吉と出ますように。
あぁ、どうなるんだ。二人のことを思うがあまり、気づけばわめき声が漏れ出ていた。
「しずく、どうしたの?」
「あ、もしかして…あの二人?」
来夏が、私の前の椅子を引っ張り、前に座る。
「いろいろあったな…高校生活。特にこの2年」
「しずくと功祐、一度別れて復縁したもんね」
「いや、それもあるけどさ」
功祐と別れるきっかけになった理由…私が重度の腐女子だったから。
中学は、バスケやって、高校もバスケしようか一瞬、考えていたこともあったけど、イケメンたちの恋愛模様を覗けるかもしれないと男子バスケ部にマネージャーとして入部することにした。でも、待っても、待っても、そんなラブは発生しない。かっこいい男子どもに、群がる女子はいても、男子は全くっていいほど居ない。埋もれているのかもしれないけど、私の目には、恋してる目をした男を見つけることが出来なかった。誰か、私が求める恋愛を繰り広げてくれーと心の中で、叫んでいたところに現れた。カメラを持って体育館に迷い込んだ子猫ちゃんの月くん(由真くん)。地味系の眼鏡男子のレンズに映るその先は、バスケ部1の人気者晴陽。レンズを向けられていたことに気づいた晴陽は、その迷子の子猫ちゃんを体育館の中に連れ込み、保護。しかも、晴陽が由真くんに注ぐ視線が陽だまりのように穏やかだ。ファンの女子どもには、そこそこドライなのに。私たちバスケ部の仲間には見せない顔を見せちゃって。気づいちゃったときは、心躍ったよ。話がちょっと脱線してしまった。
しかも、隠していたのに、5つ年下の弟の理久が、よくも私の部屋を開けて…でも、ばれてしまうのは時間の問題だった。それで、顔を引きつらせて茫然と立っている功祐の顔を見て、私たちはまた友達に戻ることにした。
それから、功祐は、彼女を作っては別れてを、繰り返していた。
でも、功祐が、おすすめのBL作品聞いてきたときは驚いたな。それから、推している漫画がアニメ化して二人で見に行った。そして、その帰りに歩きながら、ふと言われた。
「また恋人に戻らないか。あの時はごめん」
まるで、時間が一瞬止まったかのようだった。功祐の手が触れる。気のせいじゃない、触れたままだ…この手を離してしまったら、私の好きを理解してくれる人は現れないかもしれない。そう思ったら、そっと手を握り返し、功祐の顔を覗かせて頷いていた。
「もう離したりしないでよ」
照れくさそうに呟くと、功祐は「おぉ」と答えた。
「あぁね…由真くんと晴陽ね」
来夏は私が、功祐とのことを懐かしんでいるのに気づいてたみたいで、待ってくれていた。良かったねという表情で見つめる。
「しずく、二人のこと推してたもんね。ゲームしているかのように、二人のことをあの手この手でくっつけようとしたもんね」
「ちょっと、来夏…」
あながち間違いではないけど。でも、色々とあった。球技大会で、犯罪に手を染めていた親の権力にしがみついていた厄介な先輩が、由真くんのこといじめて、それで、晴陽が起こって、お灸をすえたこともあった。でも、何より…ビッグイベント…
「修学旅行!」
心の声から、現実世界へとジャンプをして声を大にして周りに迷惑にならないように叫ぶ。
「由真くんが熱で倒れて、晴陽が、お姫様抱っこして、車まで運んでたもんね。その写真を、スマホで隠し撮りして、穴があくぐらいに見つめてたもんね」
若干、引き気味の来夏が、頬を引きつらせながら呟く。
「今もあるよ、あのお姫様抱っこの写真。もう少し、綺麗に撮りたかったな。スマホの限界よ」
「出さなくていいよ。晴陽も、由真くんに付き添って、こっちに帰って来たの日曜日の午前中だったもんね。たまたま、親戚の病院に運ばれたのすごいよね。でさ、月くんの体調良くなってから、二人だけで修学旅行楽しんでたみたいだし…」
「密着したかった。二人だけの修学旅行」
「それは、ストーカー行為だ。しずく」
来夏が、しずくを必死で止める。
「あと、ライバルの登場」
来夏が、サイン会の群れに目を遣る。
「メリッサ!」
ちょうど、転校生美少女メリッサの卒業アルバムサイン会と写真撮影会が教室の片隅で繰り広げられていた。「げ」としずくが声を漏らす。
「しずく、メリッサに威嚇してたもんね」
「あと、あの事件のせいで、二人の心は」
晴陽が星稜高校を背負って出た最後の春季大会での帰り道で刺された事件を思い出す。
「思い出すだけでつらい、胸がぎゅっと」
それから二人の距離は遠くなっていった。
「ねぇ、しずく」
来夏が目を見開き、布団を布団叩きで勢いよく叩くかのように、しずくの肩を手でパタパタさせる。どうしたの? と表情を浮かべて、指がさす方へ視線を向ける。
「おふぉ」
晴陽と由真が並んで、仲睦まじそうに歩いている。手なんか繋いだりして。良かったよと来夏と喜びを嚙みしめて静かに拍手をする。
いや、キスとかしたのかな。想像するだけで、ニヤニヤが止まらない。
とりあえずゲームクリアだ。二人の物語は、始まった、いや、もうずっと前から始まっていたのだろうけど、私が近くで見守ることができるのは、ここまでだ。今日で、高校篇が終了。晴陽はプロのバスケットボールプレイヤー、月くんはプロのスポーツカメラマンを目指して、あの二人の物語は、これからも続いていく。二人の展開が気になる。お願いだから、末永く幸せに! 喧嘩してもすれ違っても、壁にぶち当たっても、二人して乗り越えてくれ!
心臓がバクバクしている。尊さで軽く過呼吸になりそうだ。
「はいはい、しずく、深呼吸」
来夏の合図で、深く息を肺に蓄える。そして、しずくは、立ち上がり叫ぶ。
誰か、この二人の話を漫画に、小説にしてくれませんか!!!
最後に出来ることをしたのだけど、あぁ、吉と出ますように。
あぁ、どうなるんだ。二人のことを思うがあまり、気づけばわめき声が漏れ出ていた。
「しずく、どうしたの?」
「あ、もしかして…あの二人?」
来夏が、私の前の椅子を引っ張り、前に座る。
「いろいろあったな…高校生活。特にこの2年」
「しずくと功祐、一度別れて復縁したもんね」
「いや、それもあるけどさ」
功祐と別れるきっかけになった理由…私が重度の腐女子だったから。
中学は、バスケやって、高校もバスケしようか一瞬、考えていたこともあったけど、イケメンたちの恋愛模様を覗けるかもしれないと男子バスケ部にマネージャーとして入部することにした。でも、待っても、待っても、そんなラブは発生しない。かっこいい男子どもに、群がる女子はいても、男子は全くっていいほど居ない。埋もれているのかもしれないけど、私の目には、恋してる目をした男を見つけることが出来なかった。誰か、私が求める恋愛を繰り広げてくれーと心の中で、叫んでいたところに現れた。カメラを持って体育館に迷い込んだ子猫ちゃんの月くん(由真くん)。地味系の眼鏡男子のレンズに映るその先は、バスケ部1の人気者晴陽。レンズを向けられていたことに気づいた晴陽は、その迷子の子猫ちゃんを体育館の中に連れ込み、保護。しかも、晴陽が由真くんに注ぐ視線が陽だまりのように穏やかだ。ファンの女子どもには、そこそこドライなのに。私たちバスケ部の仲間には見せない顔を見せちゃって。気づいちゃったときは、心躍ったよ。話がちょっと脱線してしまった。
しかも、隠していたのに、5つ年下の弟の理久が、よくも私の部屋を開けて…でも、ばれてしまうのは時間の問題だった。それで、顔を引きつらせて茫然と立っている功祐の顔を見て、私たちはまた友達に戻ることにした。
それから、功祐は、彼女を作っては別れてを、繰り返していた。
でも、功祐が、おすすめのBL作品聞いてきたときは驚いたな。それから、推している漫画がアニメ化して二人で見に行った。そして、その帰りに歩きながら、ふと言われた。
「また恋人に戻らないか。あの時はごめん」
まるで、時間が一瞬止まったかのようだった。功祐の手が触れる。気のせいじゃない、触れたままだ…この手を離してしまったら、私の好きを理解してくれる人は現れないかもしれない。そう思ったら、そっと手を握り返し、功祐の顔を覗かせて頷いていた。
「もう離したりしないでよ」
照れくさそうに呟くと、功祐は「おぉ」と答えた。
「あぁね…由真くんと晴陽ね」
来夏は私が、功祐とのことを懐かしんでいるのに気づいてたみたいで、待ってくれていた。良かったねという表情で見つめる。
「しずく、二人のこと推してたもんね。ゲームしているかのように、二人のことをあの手この手でくっつけようとしたもんね」
「ちょっと、来夏…」
あながち間違いではないけど。でも、色々とあった。球技大会で、犯罪に手を染めていた親の権力にしがみついていた厄介な先輩が、由真くんのこといじめて、それで、晴陽が起こって、お灸をすえたこともあった。でも、何より…ビッグイベント…
「修学旅行!」
心の声から、現実世界へとジャンプをして声を大にして周りに迷惑にならないように叫ぶ。
「由真くんが熱で倒れて、晴陽が、お姫様抱っこして、車まで運んでたもんね。その写真を、スマホで隠し撮りして、穴があくぐらいに見つめてたもんね」
若干、引き気味の来夏が、頬を引きつらせながら呟く。
「今もあるよ、あのお姫様抱っこの写真。もう少し、綺麗に撮りたかったな。スマホの限界よ」
「出さなくていいよ。晴陽も、由真くんに付き添って、こっちに帰って来たの日曜日の午前中だったもんね。たまたま、親戚の病院に運ばれたのすごいよね。でさ、月くんの体調良くなってから、二人だけで修学旅行楽しんでたみたいだし…」
「密着したかった。二人だけの修学旅行」
「それは、ストーカー行為だ。しずく」
来夏が、しずくを必死で止める。
「あと、ライバルの登場」
来夏が、サイン会の群れに目を遣る。
「メリッサ!」
ちょうど、転校生美少女メリッサの卒業アルバムサイン会と写真撮影会が教室の片隅で繰り広げられていた。「げ」としずくが声を漏らす。
「しずく、メリッサに威嚇してたもんね」
「あと、あの事件のせいで、二人の心は」
晴陽が星稜高校を背負って出た最後の春季大会での帰り道で刺された事件を思い出す。
「思い出すだけでつらい、胸がぎゅっと」
それから二人の距離は遠くなっていった。
「ねぇ、しずく」
来夏が目を見開き、布団を布団叩きで勢いよく叩くかのように、しずくの肩を手でパタパタさせる。どうしたの? と表情を浮かべて、指がさす方へ視線を向ける。
「おふぉ」
晴陽と由真が並んで、仲睦まじそうに歩いている。手なんか繋いだりして。良かったよと来夏と喜びを嚙みしめて静かに拍手をする。
いや、キスとかしたのかな。想像するだけで、ニヤニヤが止まらない。
とりあえずゲームクリアだ。二人の物語は、始まった、いや、もうずっと前から始まっていたのだろうけど、私が近くで見守ることができるのは、ここまでだ。今日で、高校篇が終了。晴陽はプロのバスケットボールプレイヤー、月くんはプロのスポーツカメラマンを目指して、あの二人の物語は、これからも続いていく。二人の展開が気になる。お願いだから、末永く幸せに! 喧嘩してもすれ違っても、壁にぶち当たっても、二人して乗り越えてくれ!
心臓がバクバクしている。尊さで軽く過呼吸になりそうだ。
「はいはい、しずく、深呼吸」
来夏の合図で、深く息を肺に蓄える。そして、しずくは、立ち上がり叫ぶ。
誰か、この二人の話を漫画に、小説にしてくれませんか!!!