いつものように、お昼を一緒に食べていると、しずくが、思い出したかのように、口を開く。
「明日、晴陽が日本に帰ってくるって」
「楽しみだな」
 漣が箸箱から箸を取り出しながら呟く。
「うん」「そうだね」
 由真、来夏も頷く。すると、購買に昼食を買いにいったメリッサと泉太郎が帰ってくる。いつの間にか二人も、昼食を一緒に食べるようになっていた。
「何の話していたの?」
 メリッサが食らい気味に聞く。
「晴陽が明日帰ってくるって言う話」
 しずくが二人に説明する。
「戻ってきても、晴陽忙しくて私たちに構っている暇なんかないと思う」
「えっ⁉」「ん⁉」
 皆が目を大きく見開く。
「晴陽のパパが言ってたんだけど、かなりウィンター杯での活躍もそうだけど、U18でもかなり活躍を見せ、話題になっているから、色々な大学とかプロのクラブチームとかからスカウト受けているみたい。晴陽は、プロ目指しているから、慎重になって自分の進路とか決めると思うから、私たちのこと構うほどの時間がないと思う」
「空港に迎えに行こうと思ったのに。あぁ…」
 しずくが打ちひしがれる。
「本人も疲れているのだから、いきなり帰ってきたところを突入するのは。ベスト4に残れたのって日本にとって快挙だし、取材だって殺到する。私たちは、ほとぼりが冷めた頃に、祝うべきだと思う」
 来夏が窓の外を見て、慎重な面持ちで言った。
「伝えたいこととか沢山あるけど、仕方ないか」
 漣は顔にはそこまで出さないが、心の中では落胆していた。
「いつの間にか、晴陽くんは、手が届かなくなるほどの世界的スーパースターになっていた」
 あながち、泉太郎の言葉は間違っていないと誰も否定しなかった。
「まぁ、LINEでも送っておこ! そのうち返信来るだろうし、会えるかもしれないし」
 功祐は、ポジティブに考えるが、皆頷くだけで、言葉を失っていた。
 由真は、晴陽の頑張りが色々な所で評価されていると知って嬉しい反面、今度はいつ会えるのだろうと思うと胸がじんじんと焦がれていった。