新年が明けて最初の登校日、冬の朝の冷たい空気が教室に漂っている。窓際の席にいる生徒たちは手を擦り合わせたり、ホッカイロを握ったりして寒さをしのいでいた。教室には、冬休み中の話や初詣のエピソードで盛り上がる生徒たちの声が飛び交っていた。
「あけおめ！」
　由真が教室のドアを開けると。背後からしずくが飛び出してくる。わぁ！と声を漏らしながら、由真は口を開く。
「明けましておめでとう！」
「休み終わるの早いね」
「そうだね」
「このクラスで入れるのもあと少しだね。あぁ、クラス替え嫌だな。せっかく一年を通して仲が深まったのに、切り離すって、クラス替えって残酷だね」
　クラス替え…各学年五クラスだから、橘くんたちと一緒のクラスになる確率って、低い。
　由真は、しずくの言葉を聞いて、クラス替えという言葉が、心に埋まっていくかのように痛みを覚えていく。
「漣、おはよ」
　いつの間にか、朝練終わりの漣が現れる。
「おはよ」
　由真は、挨拶をしつつも、クラス替え、クラス替え、クラス替え、心の中だけではなく頭の中までこの言葉は、侵入し始めた。
　嫌だな、クラス替え。