三日目。班別行動。
朝から青空が広がり、クラスメイトたちはそれぞれの班で自由行動を楽しむ準備を進めていた。晴陽、由真、来夏、しずくの四人は、まず沖縄美ら海水族館に向かうことに向かった。
「今日は天気も良さそうだし、最高の日になりそうだね」
しずくが明るい笑顔で言い、他の3人も同意するように頷いた。
水族館に着くと、壮大なジンベエザメがゆったりと泳ぐ巨大な水槽の前に、しずくと来夏が引き寄せられる。
由真はカメラを手に、真剣な表情で写真を撮り続けていた。
「月くん、こっちこっち! ジンベエザメいるよ!」
晴陽が手招きして、由真を呼び寄せる。
「行く! ありがとう」
水族館、来るの久しぶりだけど、いいな。非日常的な空間に入り浸れて心が落ち着く。魚たちや海の生物たちが華麗に泳ぐ姿を見て、由真はレンズ越しに感動しながら、何度もシャッターを切った。
イルカのショーを見た後、四人は水族館の展示を一通り回った後、次は古宇利島に向かう予定だった。しかし、外に出た瞬間、急に空が暗くなり始め、ゴロゴロと雷鳴が遠くから聞こえた。
「え? 急に曇ってきた」
来夏が空を見上げ、不安そうな表情を浮かべた。
「急いで次の場所に行こうか。まだ雨降ってないし、何とかなるかも」
晴陽が提案し、全員が急いでバス停に向かって歩き始めた。
しかし、道半ばで急に冷たい雨が降り出し、瞬く間にどしゃぶりになってしまった。
あぁ、何で、雨。天気予報確認したけど、降水確率10%だった。折りたたみ傘は一応カバンに入れているが、持っていた折り畳み傘では体を守り切るのには不十分だった。全員無我夢中で、屋根があるところに走った。何とか、カメラは、自分の身が濡れてもいいからと必死で、守り抜いた。
「やばい、完全に濡れた…」
しずくが濡れた髪を絞りながら、顔に暗い影を落とす。由真も同じくずぶ濡れの状態で雨の様子を気にしながら、カメラケースに入れたカメラの無事を確かめる。一眼レフにしなくて良かった。ミラーレス一眼にしておいて良かった。
「月くん、大丈夫?」
晴陽が心配そうに声をかける。カメラを起動させて、ちゃんと動くか確認する。
「ちょうど、あそこに、コンビニがあるから、タオル買って体拭こう。あと傘も」
しずくが提案する。
「そうしよう」「そうだね」
晴陽と来夏が頷く。
「月くんと晴陽は外で待ってて。すぐ帰ってくる」
しずくと来夏は、コンビニに入っていった。
「大丈夫?」
晴陽が、曇らせた声で、由真に再び問いかける。
「カメラ濡れていないかったから大丈夫」
カメラを守り切れた安堵を顔に綻ばせる。その姿を見て、晴陽は、目を瞬かせる。
「あぁ…カメラじゃなくて、月くん本体」
晴陽の声が、由真の心を衝く。笑っているように見えたけど、呆れさせてしまったかもしれない。何だかいつもの橘くんと違う空気が漂っている。言葉には言い表されないけど、何というか張り詰めている。
「た、たぶん」
やってしまったと、顔を下に向ける。沈黙に重なるように、降り注ぐ雨音に二人とも、耳を傾けていた。
「お待たせ!」
手に傘とタオルを抱えたしずくと来夏が店内から出てくる。買って来てくれたタオルで体を拭いていると、次第に雨脚が遠ざかっていった。
「しっかり、体拭いて体温めて今日は早く寝よ。せっかくの修学旅行が台無しになるのだけは避けたいから」
「そうだね」
その後、何とかバスに乗り込み、観光を続けたが、由真の体は次第に重くなり、夕方になる頃には咳をし始めていた。
朝から青空が広がり、クラスメイトたちはそれぞれの班で自由行動を楽しむ準備を進めていた。晴陽、由真、来夏、しずくの四人は、まず沖縄美ら海水族館に向かうことに向かった。
「今日は天気も良さそうだし、最高の日になりそうだね」
しずくが明るい笑顔で言い、他の3人も同意するように頷いた。
水族館に着くと、壮大なジンベエザメがゆったりと泳ぐ巨大な水槽の前に、しずくと来夏が引き寄せられる。
由真はカメラを手に、真剣な表情で写真を撮り続けていた。
「月くん、こっちこっち! ジンベエザメいるよ!」
晴陽が手招きして、由真を呼び寄せる。
「行く! ありがとう」
水族館、来るの久しぶりだけど、いいな。非日常的な空間に入り浸れて心が落ち着く。魚たちや海の生物たちが華麗に泳ぐ姿を見て、由真はレンズ越しに感動しながら、何度もシャッターを切った。
イルカのショーを見た後、四人は水族館の展示を一通り回った後、次は古宇利島に向かう予定だった。しかし、外に出た瞬間、急に空が暗くなり始め、ゴロゴロと雷鳴が遠くから聞こえた。
「え? 急に曇ってきた」
来夏が空を見上げ、不安そうな表情を浮かべた。
「急いで次の場所に行こうか。まだ雨降ってないし、何とかなるかも」
晴陽が提案し、全員が急いでバス停に向かって歩き始めた。
しかし、道半ばで急に冷たい雨が降り出し、瞬く間にどしゃぶりになってしまった。
あぁ、何で、雨。天気予報確認したけど、降水確率10%だった。折りたたみ傘は一応カバンに入れているが、持っていた折り畳み傘では体を守り切るのには不十分だった。全員無我夢中で、屋根があるところに走った。何とか、カメラは、自分の身が濡れてもいいからと必死で、守り抜いた。
「やばい、完全に濡れた…」
しずくが濡れた髪を絞りながら、顔に暗い影を落とす。由真も同じくずぶ濡れの状態で雨の様子を気にしながら、カメラケースに入れたカメラの無事を確かめる。一眼レフにしなくて良かった。ミラーレス一眼にしておいて良かった。
「月くん、大丈夫?」
晴陽が心配そうに声をかける。カメラを起動させて、ちゃんと動くか確認する。
「ちょうど、あそこに、コンビニがあるから、タオル買って体拭こう。あと傘も」
しずくが提案する。
「そうしよう」「そうだね」
晴陽と来夏が頷く。
「月くんと晴陽は外で待ってて。すぐ帰ってくる」
しずくと来夏は、コンビニに入っていった。
「大丈夫?」
晴陽が、曇らせた声で、由真に再び問いかける。
「カメラ濡れていないかったから大丈夫」
カメラを守り切れた安堵を顔に綻ばせる。その姿を見て、晴陽は、目を瞬かせる。
「あぁ…カメラじゃなくて、月くん本体」
晴陽の声が、由真の心を衝く。笑っているように見えたけど、呆れさせてしまったかもしれない。何だかいつもの橘くんと違う空気が漂っている。言葉には言い表されないけど、何というか張り詰めている。
「た、たぶん」
やってしまったと、顔を下に向ける。沈黙に重なるように、降り注ぐ雨音に二人とも、耳を傾けていた。
「お待たせ!」
手に傘とタオルを抱えたしずくと来夏が店内から出てくる。買って来てくれたタオルで体を拭いていると、次第に雨脚が遠ざかっていった。
「しっかり、体拭いて体温めて今日は早く寝よ。せっかくの修学旅行が台無しになるのだけは避けたいから」
「そうだね」
その後、何とかバスに乗り込み、観光を続けたが、由真の体は次第に重くなり、夕方になる頃には咳をし始めていた。