放課後、次のフォトコンテストに出す作品、何にしようかと迷いながら校舎を歩いていると、遠くから体育館内での掛け声や、シューズが床を叩くリズミカルな音が耳に入ってきた。春の柔らかい風が校舎の窓から入り込み、外と中の空気が混じり合っている。気づけば、その熱気に吸い寄せられるように体育館へと足を向けていた。半開きになっていたドアの前で一瞬足を止め、「失礼します」と心の中で一礼し、静かに中を覗き込む。

 奥ではバレー部が練習をしていて、その手前ではバスケ部が練習試合を行っていた。高い天井に響く声と、汗の匂いが鼻をくすぐる。スポーツをしている人を撮るなんて、今までほとんど経験がない。でも、面白いかもしれない。そう思い、無意識のうちにカメラを構えた。どこを撮ろうかと考えているうちに、目が自然と一人の選手に引き寄せられる。