🐾
「今日合格発表ですね。あの子たち」
 汐里が、そわそわしながら、時計をじっと見つめている。
「はい、こっちまでドキドキです」
 廉介が腕時計に目をやり、軽く背伸びをする。
「結局、あの二人、本命、同じ大学受けましたね。しかも、同じ学部」
 併願校は、二人とも、それぞれ共通テストを利用して、すでに合格を貰ってはいるが、本命の発表が今日だ。ネットで、合格を見ることもできるが、二人とも大学の掲示板に見に行くということで、俺と満島先生は、結果を見に行った二人をそれぞれ落ち合うことになっている。
 それにしても、悠都が、法学部を受けるのは、親が弁護士だから、まぁ、そうなるのかなと思っていたけれど、ユヅが、法学部行くと言った時は、正直意外で驚いた。二人とも、今日合格が分かったら、同じ大学行くのか。どうなるんだ…
「そうですね。私もある決心をしたので、別の意味でも緊張が」
「ある決心? 実は俺も、覚悟を決めて…」
「そうなんですね。あの、お互い、決心と覚悟がいい方向に進んだら、打ち上げしませんか」
「いいですね」
「頑張りましょう! 私は、悠都くんと待ち合わせしているそので…じゃあ、検討祈っています」
「満島先生も」