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「な、守?」
「ユヅの両親って、海外に赴任しているって聞いたことあるが、日本に帰ってくる予定って」
「帰ってくるよ。もうじき」
「優月の誕生日だから」
 梨乃が付け加える。ユヅの誕生日は、確か、十二月二十四日。クリスマスイブだったから、覚えていた。
「どんな人?」
「由帆姉ちゃんは、強い。優弥さんは、優月ラブで、体格の良さあって見た目厳つい、由帆姉ちゃんの尻にしかれている」
 梨乃の説明に、思わず口がぽかんと開いてしまう。本当なのかと守に視線を送ると、ゆっくり頷く。
 厳つい、強い…ユヅは、おっとり。
 廉介は、一人、頭を抱えていた。
「まぁ、大丈夫っしょ」
 守が根拠のない自信で言う。
「そうだね」
 守と梨乃は軽いノリで言うが、逆にそのノリが怖さを引き寄せる。
 ユヅのご両親ってどんな人なんだろう。