「あの、高岡先生。いいですか?」
 悠都は塾について、すぐ、職員室に向かった。ちょうど、廉介以外は授業で出払っていた。
「石橋くん、どうしましたか?」
「優月を突き飛ばした女って結局どうなったんですか。先生の元カノですよね」
 やはり、この子は、直球に物事をぶつけてくる。それが彼の良さなのかもしれないが、鋭くて痛い。
「殺人未遂で立件され、今裁判を受けているところです」
「そうですか……先生の都合で優月をこれ以上傷つけるのだけは辞めてください。今度、優月を悲しませたら、ただでおかないですから……覚悟しておいてください」
 悠都の言葉と真っ直ぐに鋭い目が、廉介の心をホールドするかのように、重くずっしり乗っかかる。
「はい」
 確かにその通りだ。終了のゴングが脳内で鳴り響く。