🐾
梨乃と守の子が誕生し、廉介と優月は出産祝いを買いに、守の車を借りて大きなショッピングモールを訪れていた。守は車を二台保有しているらしく、一つ返事で貸してくれた。
訪れたショッピングモールは、三階建てで、まるで黒スーツに黒いサングラスの男から、賞金獲得のために逃げるあの番組が撮れそうな広さだ。もしかしたら、舞台になっているかもしれない。そんなことを考えながら、子供服やグッズを取り扱うお店に来て、出産祝いの品を何にするか吟味しているところだ。
「梨乃ちゃん、何あげたら喜ぶかな……」
出産祝いを送るのが初めての優月は頭を悩ませている。
「出産祝いって、何がいいんだろう。俺もいつも悩む。毎回、友達が出産報告してくる度にどうしようって」
出産祝い何を送ればいいのか問題に度々ぶち当たり、その度に回答してきたものの、その回答でいいのかあやふやなままで、そろそろ答えが知りたいと思っている。誰か答えを教えて欲しいと切実に思う。こんなことを考えていると、何かを閃いたかのように、優月は口を開く。
「赤ちゃんの未光ちゃんと梨乃ちゃん二人に送るものを選びたい」
「お金は気にしないでいいから。妥協とかしなくていいから」
「ごめん」
優月は申し訳なさそうに謝る。
「いいの、いいの、ここは大人の俺が払わなきゃ。俺だけだと何選んだらいいのか分からないから、ユヅがいてくれて心強い。それに、俺、赤ちゃんに送るものだけを考えていて、梨乃ちゃんのこと考えてなかったら、ユヅすごいなって思った」
「梨乃ちゃんが頑張ったから、未光ちゃんが無事に生まれてきた。これからもっと大変になるだろうから少しでも何かしてあげたいなって」
「えらいな」
廉介は優月の頭に手を置き、頬を緩ませながら撫で撫でする。ユヅは、本当に優しい子だ。
「そろそろお店行こ!」
黄色のカーディガンを身に着けたハーフアップの清楚な雰囲気の女性が廉介の肩をバンバンと叩く。少し遅れてその横に立つ銀髪の爽やかな男性が目に映る。
「あれ、やっぱり。廉じゃない? こんなところで会うなんて奇遇じゃない?」
優月は急に現れた五十代ぐらいの夫婦に驚くが、停電が復旧したかのようにあることに気づく。
「え、何でここに? 母さん父さん」
その正体は、廉介の母麻実と父真吾だった。
「ところで、横にいる可愛らしいお嬢さんは?」
目を丸くして優月を見つめる廉介の両親。何て答えればいいのか、頭の中を整理しながら、とりあえず笑って何とか乗り切る、その作戦で行こうと優月は決行した。それが裏目に出てしまった。
「え、まさか⁉」
真吾は、目の色を変え、雷を落としそうな勢いで廉介に迫る。優月も、その様子に気づく。
あぁ、どうしよう…
廉介と優月は目を合わせて、この状況をどう打破しようか考える。そして、二人とも同じタイミングで息を呑む。
「まぁ、とりあえず、どこかに行ってお話しましょ」
バチバチ火花を散らしている真吾とあたふたしている廉介と優月の様子を見て、麻美が提案する。
「良かった。廉介がやばいことしでかしているのかと思って、ヒヤヒヤした」
そう呟く真吾に廉介は目を細める。
俺が卑猥なことしているとか思っていたんでしょ、父さん……。
麻美の提案で優月と廉介は、一緒にお昼をすることになり、頼んだごはんが来るのを待つ。
お店に向かう道中に、簡単に俺たちの関係を説明して、粗方は理解してくれた、たぶん。優月がユズだということは言っていない。横にいる女の子は、守の妻の姪っ子で、訳あって、今に至ると言葉を慎重に選びながら説明した。
「優月ちゃん、息子が迷惑かけていない?」
麻美が心配そうな表情で優月を見つめる。
「廉、失礼なこととかしていないよな」
真吾が釘を持って、しているといったら、ハンマーで今にも打ちそうかのような視線で、廉介のことを見る。
「ちょっと父さん。母さんも」
その様子に、優月は背筋を伸ばし、口を開く。
「いえいえ。私の方が息子さんに色々と助けてもらっているので。迷惑をかけてしまっているのは、私の方です」
「なんて優月ちゃんいい子なの」
麻美の目が輝いている。
いや…これは、感動のあまり潤んでいるなと廉介は思う。
「いえ、そんなこと」
ユヅは謙遜しているようだが、母さんが言うように思いやりのある優しいいい子だ。
「でも……優月ちゃんと初めて会った気がしないわ」
麻美が首を傾げながら、何でだろうと不思議そうな表情を浮かべる。廉介は、水を飲んでいて、麻美の発言に喉を詰まらせる。
「俺もそれ思った。初対面なはずなのにそんな気がしない」
真吾も麻美に同感する。廉介と優月は顔を見合わせ、苦笑いでその場をどうにかして乗り切った。
「ごちそうさまでした。奢っていただきありがとうございました」
優月は麻美にお礼を言う。
「いいのよ。優月ちゃん。今度、良かったら遊びにおいで。おもてなしさせて」
「え! いいんですか」
「もちろん。あと、廉介もたまには帰って来なさい」
廉介の肩に両手を置き、廉介に視線を注ぐ。
「分かった」
廉介はばつが悪そうな顔をして、俯く。
「母さん、父さん、ごめんなさい」
廉介は何も相談せず勝手に婚約破棄をしたことへの罪悪感を謝罪にしたためる。
「何で謝るの? 廉介、焦らなくていいのよ。焦りすぎると冷静な判断ができなくなるから。廉介、周りは周りよ。周囲に自分のペースかき乱されては、自分を失ってしまい、自分が自分でなくなってしまう。だから、他人より進むスピードが遅いと思っても、アクセル全開に踏まないで、自分のペースで突き進むのよ。むやみやたらにアクセル踏んでいたら、周りが見えなくなって事故を起こしてしまうわ。私たちは廉介が幸せに人生歩んでくれていたら十分だわ。そうでしょ。あなた」
「うん。廉介、まぁ、頑張れよ」
言いたいことは妻の麻美に言われてしまい、真吾は端的な言葉で廉介を鼓舞する。
「じゃあね」
麻美は、手が千切れるのではないかと思うほど手を振っている。
「ありがとうございました」
優月は頭を深々下げ、手を振り、麻美と真吾を見送った。
両親とは、婚約破棄をして、その連絡を電話越しにした以来だった。会うのは、結婚前提にお付き合いしていると挨拶をしに行った以来、約一年半ぶりだ。お母さんの言葉が、心に蓄積していた申し訳なさを溶かしてくれた。
「お母さん、お父さん、元気そうで良かった」
「まさかこんなところで会うとは思わなかったけど。ユヅもびっくりしたよな」
「うん。でも、久しぶりに会えて嬉しかったし、出産祝いも満足いくものが買えてよかった」
「だな」
「喜んでくれるといいな。梨乃ちゃんと未光ちゃん」
「きっと大丈夫。さっそく帰って渡そうか」
「ただいま」
「おかえり」
仕込みをしている守と赤ちゃんをおんぶしている梨乃が顔を覗かせる。
「梨乃ちゃん、これ出産祝い。気に入ってもらえるか分からないけど」
「え、いいの?」
梨乃は目を輝かせて、プレゼントを受け取る。
「二人で選んできた。こっちが未光ちゃんので、これが梨乃ちゃんへのプレゼント」
二つ目があることに梨乃は目を大きくする。
「あ、ありがとう。私まで貰ってもいいの?」
「うん!」
「嬉しい。中見てもいい?」
「もちろん!」
「この小さなリュック可愛い。未光がもう少し大きくなったら使える。このゼリーおいしいやつ。フルーツ沢山入って満足感が高いやつ。ありがとう!」
未光ちゃんには、淡いピンクを基調とした茶色のⅯの刺繍が入ったリュックを選んだ。ただのリュックではなくて、クマのおむつシートとよだれかけ、ぬいぐるみが入っている。梨乃ちゃんには、果実屋さんの袋入りのフルーツゼリーを選んだ。ラインアップは、マンゴー、桃、マスカット、みかん、ミックス十袋だ。冷蔵庫で冷やして、袋をハサミで切って、皿に移して、スプーンを持てば、あとは口に運ぶだけだ。皿を出すのが面倒、少しでも洗い物を減らしたい場合は、ゼリーの袋の底にマチがついているから、そのまま食べることもできる。
「喜んでくれて良かった」
優月は、廉介に視線を送り、にっこり微笑む。
「優月、未光、抱っこする?」
「いいの?」
嬉しさと不安が混じった声で梨乃に聞く。
「もちろん! むしろ優月に抱っこしてほしい」
「じゃあ、分かった」
ホッとした表情を浮かべる。
「あぁ、可愛い! 天使みたい。未光ちゃん」
優月の声に未光も笑顔で応える。
「笑ってる。きゃーかぁわいい」
「ありがとう。梨乃ちゃん」
「こちらこそプレゼントありがとね! 未光もありがとうだって」
梨乃が未光に視線を向け元に戻し、二人に感謝する。未光も飛びっきりのスマイルを二人に向け、二人はその可愛さに顔の表情が解けてしまう。
「廉介、優月ちゃん。今日は七時半ぐらいにご飯できる」
焼き鳥の具材を串に刺しながら、守が壁の時計を確認して、二人に伝える。
「ありがとう! 守くん」
「守、ありがとな」
「廉くん、少し教えて欲しい所があるんだけど」
「分かった。リビングでやるか」
「うん」
優月は、ご飯ができるまで、廉介に勉強を教えてもらうことにした。
梨乃と守の子が誕生し、廉介と優月は出産祝いを買いに、守の車を借りて大きなショッピングモールを訪れていた。守は車を二台保有しているらしく、一つ返事で貸してくれた。
訪れたショッピングモールは、三階建てで、まるで黒スーツに黒いサングラスの男から、賞金獲得のために逃げるあの番組が撮れそうな広さだ。もしかしたら、舞台になっているかもしれない。そんなことを考えながら、子供服やグッズを取り扱うお店に来て、出産祝いの品を何にするか吟味しているところだ。
「梨乃ちゃん、何あげたら喜ぶかな……」
出産祝いを送るのが初めての優月は頭を悩ませている。
「出産祝いって、何がいいんだろう。俺もいつも悩む。毎回、友達が出産報告してくる度にどうしようって」
出産祝い何を送ればいいのか問題に度々ぶち当たり、その度に回答してきたものの、その回答でいいのかあやふやなままで、そろそろ答えが知りたいと思っている。誰か答えを教えて欲しいと切実に思う。こんなことを考えていると、何かを閃いたかのように、優月は口を開く。
「赤ちゃんの未光ちゃんと梨乃ちゃん二人に送るものを選びたい」
「お金は気にしないでいいから。妥協とかしなくていいから」
「ごめん」
優月は申し訳なさそうに謝る。
「いいの、いいの、ここは大人の俺が払わなきゃ。俺だけだと何選んだらいいのか分からないから、ユヅがいてくれて心強い。それに、俺、赤ちゃんに送るものだけを考えていて、梨乃ちゃんのこと考えてなかったら、ユヅすごいなって思った」
「梨乃ちゃんが頑張ったから、未光ちゃんが無事に生まれてきた。これからもっと大変になるだろうから少しでも何かしてあげたいなって」
「えらいな」
廉介は優月の頭に手を置き、頬を緩ませながら撫で撫でする。ユヅは、本当に優しい子だ。
「そろそろお店行こ!」
黄色のカーディガンを身に着けたハーフアップの清楚な雰囲気の女性が廉介の肩をバンバンと叩く。少し遅れてその横に立つ銀髪の爽やかな男性が目に映る。
「あれ、やっぱり。廉じゃない? こんなところで会うなんて奇遇じゃない?」
優月は急に現れた五十代ぐらいの夫婦に驚くが、停電が復旧したかのようにあることに気づく。
「え、何でここに? 母さん父さん」
その正体は、廉介の母麻実と父真吾だった。
「ところで、横にいる可愛らしいお嬢さんは?」
目を丸くして優月を見つめる廉介の両親。何て答えればいいのか、頭の中を整理しながら、とりあえず笑って何とか乗り切る、その作戦で行こうと優月は決行した。それが裏目に出てしまった。
「え、まさか⁉」
真吾は、目の色を変え、雷を落としそうな勢いで廉介に迫る。優月も、その様子に気づく。
あぁ、どうしよう…
廉介と優月は目を合わせて、この状況をどう打破しようか考える。そして、二人とも同じタイミングで息を呑む。
「まぁ、とりあえず、どこかに行ってお話しましょ」
バチバチ火花を散らしている真吾とあたふたしている廉介と優月の様子を見て、麻美が提案する。
「良かった。廉介がやばいことしでかしているのかと思って、ヒヤヒヤした」
そう呟く真吾に廉介は目を細める。
俺が卑猥なことしているとか思っていたんでしょ、父さん……。
麻美の提案で優月と廉介は、一緒にお昼をすることになり、頼んだごはんが来るのを待つ。
お店に向かう道中に、簡単に俺たちの関係を説明して、粗方は理解してくれた、たぶん。優月がユズだということは言っていない。横にいる女の子は、守の妻の姪っ子で、訳あって、今に至ると言葉を慎重に選びながら説明した。
「優月ちゃん、息子が迷惑かけていない?」
麻美が心配そうな表情で優月を見つめる。
「廉、失礼なこととかしていないよな」
真吾が釘を持って、しているといったら、ハンマーで今にも打ちそうかのような視線で、廉介のことを見る。
「ちょっと父さん。母さんも」
その様子に、優月は背筋を伸ばし、口を開く。
「いえいえ。私の方が息子さんに色々と助けてもらっているので。迷惑をかけてしまっているのは、私の方です」
「なんて優月ちゃんいい子なの」
麻美の目が輝いている。
いや…これは、感動のあまり潤んでいるなと廉介は思う。
「いえ、そんなこと」
ユヅは謙遜しているようだが、母さんが言うように思いやりのある優しいいい子だ。
「でも……優月ちゃんと初めて会った気がしないわ」
麻美が首を傾げながら、何でだろうと不思議そうな表情を浮かべる。廉介は、水を飲んでいて、麻美の発言に喉を詰まらせる。
「俺もそれ思った。初対面なはずなのにそんな気がしない」
真吾も麻美に同感する。廉介と優月は顔を見合わせ、苦笑いでその場をどうにかして乗り切った。
「ごちそうさまでした。奢っていただきありがとうございました」
優月は麻美にお礼を言う。
「いいのよ。優月ちゃん。今度、良かったら遊びにおいで。おもてなしさせて」
「え! いいんですか」
「もちろん。あと、廉介もたまには帰って来なさい」
廉介の肩に両手を置き、廉介に視線を注ぐ。
「分かった」
廉介はばつが悪そうな顔をして、俯く。
「母さん、父さん、ごめんなさい」
廉介は何も相談せず勝手に婚約破棄をしたことへの罪悪感を謝罪にしたためる。
「何で謝るの? 廉介、焦らなくていいのよ。焦りすぎると冷静な判断ができなくなるから。廉介、周りは周りよ。周囲に自分のペースかき乱されては、自分を失ってしまい、自分が自分でなくなってしまう。だから、他人より進むスピードが遅いと思っても、アクセル全開に踏まないで、自分のペースで突き進むのよ。むやみやたらにアクセル踏んでいたら、周りが見えなくなって事故を起こしてしまうわ。私たちは廉介が幸せに人生歩んでくれていたら十分だわ。そうでしょ。あなた」
「うん。廉介、まぁ、頑張れよ」
言いたいことは妻の麻美に言われてしまい、真吾は端的な言葉で廉介を鼓舞する。
「じゃあね」
麻美は、手が千切れるのではないかと思うほど手を振っている。
「ありがとうございました」
優月は頭を深々下げ、手を振り、麻美と真吾を見送った。
両親とは、婚約破棄をして、その連絡を電話越しにした以来だった。会うのは、結婚前提にお付き合いしていると挨拶をしに行った以来、約一年半ぶりだ。お母さんの言葉が、心に蓄積していた申し訳なさを溶かしてくれた。
「お母さん、お父さん、元気そうで良かった」
「まさかこんなところで会うとは思わなかったけど。ユヅもびっくりしたよな」
「うん。でも、久しぶりに会えて嬉しかったし、出産祝いも満足いくものが買えてよかった」
「だな」
「喜んでくれるといいな。梨乃ちゃんと未光ちゃん」
「きっと大丈夫。さっそく帰って渡そうか」
「ただいま」
「おかえり」
仕込みをしている守と赤ちゃんをおんぶしている梨乃が顔を覗かせる。
「梨乃ちゃん、これ出産祝い。気に入ってもらえるか分からないけど」
「え、いいの?」
梨乃は目を輝かせて、プレゼントを受け取る。
「二人で選んできた。こっちが未光ちゃんので、これが梨乃ちゃんへのプレゼント」
二つ目があることに梨乃は目を大きくする。
「あ、ありがとう。私まで貰ってもいいの?」
「うん!」
「嬉しい。中見てもいい?」
「もちろん!」
「この小さなリュック可愛い。未光がもう少し大きくなったら使える。このゼリーおいしいやつ。フルーツ沢山入って満足感が高いやつ。ありがとう!」
未光ちゃんには、淡いピンクを基調とした茶色のⅯの刺繍が入ったリュックを選んだ。ただのリュックではなくて、クマのおむつシートとよだれかけ、ぬいぐるみが入っている。梨乃ちゃんには、果実屋さんの袋入りのフルーツゼリーを選んだ。ラインアップは、マンゴー、桃、マスカット、みかん、ミックス十袋だ。冷蔵庫で冷やして、袋をハサミで切って、皿に移して、スプーンを持てば、あとは口に運ぶだけだ。皿を出すのが面倒、少しでも洗い物を減らしたい場合は、ゼリーの袋の底にマチがついているから、そのまま食べることもできる。
「喜んでくれて良かった」
優月は、廉介に視線を送り、にっこり微笑む。
「優月、未光、抱っこする?」
「いいの?」
嬉しさと不安が混じった声で梨乃に聞く。
「もちろん! むしろ優月に抱っこしてほしい」
「じゃあ、分かった」
ホッとした表情を浮かべる。
「あぁ、可愛い! 天使みたい。未光ちゃん」
優月の声に未光も笑顔で応える。
「笑ってる。きゃーかぁわいい」
「ありがとう。梨乃ちゃん」
「こちらこそプレゼントありがとね! 未光もありがとうだって」
梨乃が未光に視線を向け元に戻し、二人に感謝する。未光も飛びっきりのスマイルを二人に向け、二人はその可愛さに顔の表情が解けてしまう。
「廉介、優月ちゃん。今日は七時半ぐらいにご飯できる」
焼き鳥の具材を串に刺しながら、守が壁の時計を確認して、二人に伝える。
「ありがとう! 守くん」
「守、ありがとな」
「廉くん、少し教えて欲しい所があるんだけど」
「分かった。リビングでやるか」
「うん」
優月は、ご飯ができるまで、廉介に勉強を教えてもらうことにした。