窓を開け放つと、青い空がどこまでも続いている。白い雲がふわりと浮かび、風が一瞬だけ心地よく頬を撫でる。遠くから聞こえる子どもたちの笑い声や、水遊びをする音がかすかに耳に入る。夏は始まったばかりで、全てがこれから動き出すような気配に満ちている。
　夏休みに入り、模試の復習をするために、優月と廉介たちは合同で授業をすることになった。
「模試で間違ったところは、見返すためにノートにまとめてしっかり復習すること。ノートにまとめて、自分の犯してしまったミスを形にして残しておくことで、自分が、どこが苦手なのか、どういう時に間違えるか分析し、未来に起こるかもしれない失敗を未然に防ぐことが出来るから」
「はい、分かりました」
「話変わるんだけど、今度、このメンバーで、遊園地行かない？　実は、懸賞で遊園地のチケット四枚当たってしまって、どう？　気分転換に。二人とも、模試の成績が良かったし。ごほうびに、どうかな？　たまには息抜きも大切だよ」
「いいじゃん！　行こ！」
　意外に乗り気である悠都。
「うん！」
　悠都の視線で、スイッチがＯＮに切り替わる優月。
「高岡先生、どうします？」
「じゃあ、俺も行こうかな」
　優月が行くのなら付き添いで行ってもいいかなとなる。