「優月、おはよう！」
　学校に着き、玄関で靴を脱ぎ、シューズに履き替えていると、桃那と陽菜乃が背後から現れる。
「おはよ！」
「いいことあった？」
「いいことあった？」
　桃那、陽菜乃の順番で聞いてくる。
「まぁ、うん」
「何、何？」
　前のめりに二人が優月の肩を叩きながら、聞いてくる。優月は、その勢いに気圧されている。
　心配してくれた二人には、言わなきゃ……でも、説明がややこしい。前世の飼い主と仲直りした…いや、二人は私の前世が犬っていうのをこの前行った占いで信じているけど、それでも、二人の頭に？　を浮かばせてしまうだけだ。あぁ、何て説明、複雑だし、どっちにしろ…長くなるし、下駄箱でする会話ではない。言葉に詰まっていると、桃那と陽菜乃は顔を合わせる。

「まぁ、優月が元気ならいいや」
「うん、そうだね」
　桃那の言葉に陽菜乃が頷く。
「ありがとう。二人とも！」
　ごめん、桃那、陽菜乃。必ず二人には、言うから。