「ただいま」
 電気がついていない部屋、シーンとしている空気に、寂しさがドーンと押しつけてくる。息苦しい。今日は、守の居酒屋は、定休日。だから、コンビニで買ってきたご飯を、台所に置いているレンジで温める。その間、缶ビールを開ける。プシューと言う音が静寂の空間に響くが、すぐに溶け込む。次は、レンジの温め終わったの合図が鳴り響くが、この音もすぐに掻き消される。
「いただきます」
 コンビニで貰った割り箸で、砂肝、きゅうりの浅漬けを口に運び、ビールで流し込む。
 久しぶりだな、こういう感じ。
缶を手にしながら、同棲していた時のことを思い出す。別れる前の半年、いや一年か。よく、一人でご飯をよく食べていた。元カノは、友達とご飯を食べに行くとか、仕事で打ち上げがあるからという理由で、一緒にご飯を食べることがなくなってしまった。俺は、料理が苦手だから、いつの日かコンビニやスーパー、たまに外食でご飯を済ませる日々が当たり前になっていた。この生活に慣れていたはずと思ったのに、君と一緒に暮らし始めて、一緒にご飯を共にする時間がどれだけ幸せで大切なのか再び気づいてしまった。またあの日々に戻ってしまう……のか。

 目の前に君がいないのは、寂しい。苦しい。