「最初からそう言ってるじゃん。みんな同じだって」
鳥羽がそう言うと、「でもやっぱ寂しいよな」と柳木が机に項垂れながら深いため息をついた。
みんなよっぽど一人が嫌なようだ。
「……そんなにクリスマスに一人って嫌なの?」
恐る恐る尋ねてみると、柳木が顔をあげて「嫌に決まってんじゃん!」と言う。
「だってクリスマスってカップルのためにあるようなものなんだぜ? それを一人寂しく過ごしてなにが楽しいんだよ」
……カップルのためだけにあるわけじゃないと思うけど。
「じゃあ友達と過ごすとか?」
「男ばっかで遊んでも虚しいだけだし」
唯一提案したものは、すぐに却下される。
「ふーん、そっか」
みんなそういうものなのかな……
でも、夏樹先輩は友達と遊んでる方が楽しいって言ってたけど。
──『好きな子と過ごしたいって今の俺なら思うかな』
夏樹先輩の言葉を思い出し、ブワッと顔が熱くなる。
「……ん? 矢野、どうかした?」
鳥羽に尋ねられるけれど、
「どうもしてない! てか、今日暑くない?」
と、俺は慌てて窓を開ける。
外気の冷たい風が入り込むと、「うわっ、寒!」と柳木たちが騒ぎ出すが、俺はそれどころじゃなかった。